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日本は本当に大丈夫なのか 「41失点」という数字に見た、W杯成否を占う分水嶺

スコアは度外視、重視したのはパフォーマンス

 自分たちよりも体が大きく、パワーもある相手に、密集戦で人数をかけず守り続けられると、日本の攻撃力は大幅に低下する――。この日露呈したセオリーは、間違いなくこれから戦うアイルランド、スコットランドにも、大きな参考材料となったはずだ。

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 攻撃フェーズを重ねる中で、どのように相手にブレークダウンで人数をかけさせることができるか。どうやって、ずらりと防御ラインに並ぶ相手選手の裏に出るか。ワールドカップまでの実戦をすべて終えたジェイミー・ジャパンだが、20日のオープニングゲームへ向けた時間との戦いが始まった。

 防御面でも、今後の対戦相手に“ヒント”を与えることになった。強豪国の中で最もオーソドックスなラグビーをする南アフリカだが、この日の攻撃は異彩を放った。起点となるスクラム、密集からは、SHデクラークがパント、ボックスキックと戦略的なキックを徹底。自陣での戦いを回避して、日本のBKスリー(WTB、FB)を背走させることでプレッシャーをかけ続けた。

 ジョセフHCは、この戦術を「南アフリカは攻めることを拒否していた。1回攻撃すると、その後はキックを多用して防御で重圧をかけてきた。後はセットピースで受圧をかける戦術で挑んできた」と悔しさをにじませたが、ワールドカップでも、このような戦いに持ち込まれると苦戦を強いられることも露呈していた。

 厳しい材料が浮き彫りになった南アフリカ戦だったが、日本もサンドバック状態で打たれ続けたわけではない。前半終了直前の相手の反則にSO田村優がタッチキックを選択する場面があった。その後も、同じ選択をしていた日本だが、1点差でも勝つことが全てだと考えられるワールドカップではありえないことだ。

 ではなぜ、PGではなくラインアウトを起点にトライを狙いに行ったのか。この選択肢の回答は、試合前日のトニー・ブラウン・コーチの発言にある。前日練習を終えた同コーチは、会見で興味深いコメントを残した。

「スコアではなく、パフォーマンスが100%です。考えているのは、自分たちのゲームを最初からやって、南アフリカに重圧を与える。ラインスピードもそうだし、われわれのやりたいゲーム、パフォーマンスができれば満足できる結果になると思う」

“パフォーマンス”という発言は、スコア以上に自分たちのプレーをしっかり見極めることがこの試合で重要だということだ。どんなテストマッチでも勝ちにいくのは、世界の強豪の中では大前提だ。ジョセフHCも間違いなく選手には勝つことを求めたはずだ。だが、その一方で南アフリカという世界トップクラスの相手に、自分たちがワールドカップ本番でアイルランド、スコットランドにどこまで通用するかを試したいという思惑は間違いなくあるのだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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