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「カギは初戦のロシア戦」 8強へ、4年前の奇跡を知るホラニ龍コリニアシが強調するワケ

「代表チームの進化には目を見張る」と話すホラニ龍コリニアシ氏【写真:吉田宏】
「代表チームの進化には目を見張る」と話すホラニ龍コリニアシ氏【写真:吉田宏】

エディー時代よりフィジカル面の強化は明らか「どこからでもトライがとれる」

 いまは応援役を買って出るホラニ氏だが、代表チームの進化には目を見張る。

「プレースタイルも僕らのときとは違いますけど、それ以上に選手全員が一つになって戦おうという姿が、PNC(パシフィック・ネーションズ・カップ)のフィジー戦を見ていてすごく感じました。個々の選手が自分の役割を徹底的にやり抜いていました。練習も相当厳しいとは聞いています。合宿で夕飯の後にスクラム組むなんて、僕らのときは考えられなかった」

 15年大会で日本代表を率いたエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC)も厳しい練習を選手に課したが、ホラニ氏は「たぶんエディーさんの時代よりも、いまのほうがコンタクトは強いと思います。PNCの3試合を見ていても、フィジカル的にはすごい。徹底的にやっているなという印象です。エディーさんのときは、FWが頑張って巡目巡目に攻めて、アタックしながらスペースを探すスタイルだった。でもいまは、ピンポイントでスペースにもっていくラグビーをしている。キックパスなんかも使ってね。どこからでもトライを取れるチームになっている」と“エディー超え”を認めている。

 そして目前に迫る南アフリカ代表とのワールドカップ壮行試合(6日、埼玉・熊谷ラグビー場)。メンバー入りはできなかったが、2015年大会の金星を目の前で見守ったホラニ氏が、当時を振り返る。

「試合前に、いい戦いはできると思っていたんです。僅差の試合をね。それは、南アフリカの前のジョージア戦が大きかった。僕の中では、経験上FWがいちばん強いのがジョージアなんです。単純にスクラム、ラインアウトだったら南アフリカより上だと思います。そこで互角にやれたから、すごく自信になった。ああいう試合を、最後に勝ちきったというのが意味がある。みんなの中で何かを掴んだ、すごく手応えのあった試合だった。

 南アフリカ戦のときは、メンバーみんながすごくフレッシュで、いままでにない雰囲気だった。そこにピークを持っていっていたからね。もちろん現実的には(勝つのは)難しいことは難しかったけれど、あとは信じるだけという心境だった。ジョージア戦でFW戦には自信はあったので、あとはBKがどうやってディフェンスできるかだった。でも、みんなが自分の役割をちゃんと果たしてくれた試合でしたね。

 前半を終わって、これいけるんじゃない? 後半もずっと、いけるんじゃない、いけるんじゃないと、仲間と話していたんです。最後のスクラムは、僕はエディーさんとリーチとのやり取り(PGの指示をリーチが拒みスクラムを選択した)は知らなかったですけど、相手が(一時退場で)1人少なかったから、自ずとスクラムだなと思いながらグラウンドへ降りて行ったんです。PGという選択肢は、あの時は考えてなかったですね。ゴールラインまでもう5メートル、7メートルくらいのスクラムですから、そっちのほうがチャンス。トライは取れると思いました」

 ノンメンバーの選手たちは、スタンドの熱狂状態とはすこし異なる落ち着きと、自信を持って、あの劇的なトライを見守っていたことがわかる。ピッチにいた15人だけではなく、メンバー31人全員が、南アフリカを倒せるというマインドセットを共有できていたことが、エディー・ジョーンズ前HCの築き上げたレガシーといえるだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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