楢崎兄弟の仁義なき五輪争い 兄・智亜は緊張の弟に助言「兄弟で戦えるのは嬉しい」
弟・明智は兄の助言に感謝「トモ君がいなかったら…」
身長187センチの長身を武器とする明智は、総合7位で決勝に生き残った。スピードは1回目から6秒526と好タイムを出す兄に対し、明智は中盤でかみ合わず7秒774。太ももを叩いて悔しさをあらわにした。2回目は6秒776でガッツポーズ。兄と健闘を称え合い、8位につけた。
「スピードの2本目は本当に緊張していた。隣でトモ君(智亜)が登っていたので、『絶対に追いついてやる』という気持ちだった。そこで自己ベストを出していい流れに乗れた」
ボルダリングは第1課題で最終ホールドに2度手を掛けたが、完登には至らず。第2課題は2トライしてともに落下し、腕を組んで壁を見つめた。熟考して臨んだ3トライ目に長い手足を駆使してクリア。4課題中3つを完登して雄叫びを上げ、ボルダリングは5位で終えた。最後のリードは最終盤で落下し10位となった。
「正直、めちゃくちゃ嬉しいです。2人で決勝に行くには僕次第だった。今回はトモ君がいなかったらメンタル的にやられていた。スピードの2本目の前はトモ君に『いつも通りだよ。大丈夫だから』と言ってもらえた。ボルダリングの前も『リラックスした方がいい』と」
兄弟での出場を目指す東京五輪。智亜は「明智は緊張していた。決勝で戦いたかったので残ってくれてよかった。兄弟で戦えることは嬉しい」と歓迎し、明智は「僕は作戦とか考えるほど強くない。一種目ずつ全力で行くしかない」と活躍を誓った。
スピードはホールドの位置が統一され、高さ15メートルの壁を登ってタイムの速さを競う。ボルダリングは複数のコースを完登できた数で争う。リードはロープを使用し、12メートル以上の壁を競技時間内により高く登った選手の勝利となる。
世界選手権で代表内定しなかった選手は、11月の五輪予選(フランス)、来年4月のアジア選手権で選考。有資格者が2人未満、または3人以上の場合は同5月の複合ジャパンカップで決まる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)