[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

旧国立に6万7000人を呼んだ男、“貴公子”本城和彦は今、テレビマンになっていた

初戦を勝つことで追い風を吹かせる「ラグビーを知らない世論も盛り上がるはず」

「プール戦で最も弱い相手と目されるロシア。昨年11月にも勝っている相手ですが、時間をかけて準備できるこの試合で、しっかりと勝つことが重要でしょう。ここで勝つと、ラグビーを知らない世論も盛り上がるはずです。いい内容でロシアに勝って、その自信と世論を追い風にして次のアイルランド戦に向かう。もし、アイルランド戦を落としたとしても、最終戦のスコットランド戦で勝つのというシナリオでしょう。スコットランドは中3日という厳しい条件で日本と戦う。2015年と置かれた位置が逆転しているのも大きい」

 日本代表がワールドカップへ向けて取り組む戦術について、戦術眼に長けた司令塔だった本城氏にはどう映るのだろうか。

「攻撃的なキックを使っていくのは、僕個人は嫌いじゃない。いいと思います。その一方で難しい部分も少なくない。キックにはボールを手放すというリスクもあるし、習熟度、つまりスキルの精度を上げていくことが不可欠です。個々の選手が判断を正確にしていくことも重要ですね。キック、キャッチする選手以外の選手も、しっかりと連動してプレーしないといけない。その水準を、開幕までにどこまで上げていってワールドカップで勝負できるかということでしょうね。組織的なプレーはまだ高めていける余地はあると思う。

 それと同時に、ワールドカップで上位にいくためには、ディフェンスが重要になってくる。ジャパンが取り組んできたラッシュディフェンスだけど、個人的には、もっと極端に早く仕掛けたほうがいいと思いますね。7人制でも15人制でも、1対1のタックルについては、海外の選手と比べてまだ弱いと実感しています。だからこそ、素早い間合いが重要になってくる」

 日本代表では通算10キャップ。不動の司令塔として松尾雄治氏が活躍していた時代だった。第1回ワールドカップが行われた1987年には、すでに日本代表を離れていた。桜のジャージーでは早大時代のような活躍は果たせなかったが、その卓越したゲームメーク力や、キックなどのスキルは、日本を代表するSOの1人に数えられる。7人制の強化トップとしては、来年に迫る東京五輪への挑戦も待ち受ける本城氏。15人制代表の日本大会での躍進が、必ず続く7人制代表にも追い風になると期待を込めて、代表OB、7人制統括責任者、そしてテレビマンという3つの視点で9.20のキックオフを待つ。

本城 和彦(ほんじょう・かずひこ)
1960年7月21日、東京都生まれ。本格的にラグビーを始めた国学院久我山高ではSOとして3年で全国制覇。早大では1年からレギュラー入りして活躍。在学中に日本代表入りして、82年のカナダ代表戦で初キャップを獲得。85年までに通算10キャップ。サントリーでも活躍して、引退後は営業マン、ティップネス経営に手腕を発揮して、2015年に日本テレビに転職。7人制日本代表監督などを経て、現在は同代表強化委員長。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


W-ANS ACADEMY

1 2 3 4

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集