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ラグビー界に告ぐ、五郎丸歩のメッセージ W杯の“その先”に未来を描いているか

五郎丸は「“受け皿”を作っておくこと」がラグビー界の発展に必要だと語る【写真:荒川祐史】
五郎丸は「“受け皿”を作っておくこと」がラグビー界の発展に必要だと語る【写真:荒川祐史】

問題は“祭りの後”「先に手を打たなければ、興味を持った人は去る」

「ラグビー、スポーツをやってほしいということより、大きなイベントが行われている間に、子どもたちが長い人生において何かを感じるきっかけになれば一番いい。スポーツの祭典のために企業が大きなお金を入れてくださっているけど、大会が終わった後も日本という国、アジアという地域にラグビー、スポーツの文化が普及するようにご支援を頂きたい」

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 ただ、一時的な影響力が大きいほど、反動は大きい。問題は“祭りの後”だ。競技を文化として、どう根付かせていくのか。五輪、サッカーW杯と世界的イベントの度に議論される課題だ。何より、五郎丸自身が一過性のブームを感じた張本人である。15年W杯イングランド大会。「五郎丸ポーズ」で国民的ヒーローとなった男は、当時の経験から切り込み、警鐘を鳴らす。

「一番は“受け皿”を作っておくことが求められる。15年のW杯が終わった後、日本にラグビー人気がやって来た。でも『実際にやってみたい』という子ども、『子どもにやらせたい』という親がいても、近くにチームがない。試合を観に行ったらチケット完売になっているのに、客席には(スポンサー招待券などで)空席がある。それが、現実だった。

 選手としても、もどかしさは凄く感じていた。誰もそんな未来を想像できなかったし、準備することもできなかったから。あの時の反省をもって、大会後の国内リーグで、関心を持ってくれた人を満足させるだけの環境作りを考え、先に手を打っておかないといけない。そうでなければ、興味を持った人は去る。同じことを、繰り返してはいけない」

 大会まで100日を切り、徐々に熱の高まりを見せる中、すでにW杯の“その先”を見据えた警鐘は、ラグビー界が直視すべき宿題だろう。しかし、同時に考えたいこともある。大会を機に「会場まで観に行ってみよう」「子どもにやらせてみよう」と思わせるには、競技の魅力を表面でなく、本質から理解してもらう必要がある。

 そもそも、ラグビーの魅力とは何なのか。日本には野球、サッカーという一般化した人気スポーツがある。野球、サッカーではなく、ラグビーをすると何が育つのか。ラグビーを観ると何が楽しいのか。敢えて“ラグビーにしかない魅力”を問うてみた。五郎丸は迷うことなく、「多様性」という言葉を使い、説いた。

「ラグビーは15のポジションあり、あらゆる人が活躍できる場所がある。体が小さい人もいれば、大きい人もいる。いろんな性格を持った選手も集まっている。走ることが苦手だけど、押すことが得意な人。ただ足が速い人、パスは上手いけど当たるのは嫌な人。個性を持った人が自分のポジションに責任を持ち、戦い続ける。ぶつかること、倒れること、というラグビーの動作は普通に生きていれば、嫌なもの。

 それをチームのために厭わず、頑張るという献身は究極にあるスポーツじゃないか。つらいこと、嫌なこと、痛いことをチームのために80分間、やり続ける選手たちを思いながら見てもらえれば、いい意味でショックを受けると思う。加えて、国籍に捉われずに日本代表になれること。これは本来の(国境がない)スポーツの原点を持っていると言える。サッカーW杯、五輪に比べ、いい意味で差別化されている」

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