[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

ラグビー界に告ぐ、五郎丸歩のメッセージ W杯の“その先”に未来を描いているか

「4年に一度じゃない。一生に一度だ」――。こんなフレーズをキャッチコピーにして、ラグビーのワールドカップ(W杯)が9月、日本に初めてやって来る。世界3大スポーツイベントといわれる祭典を、ラグビー界はどう迎え、どう未来につなぐべきか。この男に聞いた。五郎丸歩、33歳。近年、日本ラグビー界で、最もその名が世間に知られた名FBだ。

五郎丸歩が語るラグビー界の今、そして未来とは【写真:荒川祐史】
五郎丸歩が語るラグビー界の今、そして未来とは【写真:荒川祐史】

五郎丸が鳴らす警鐘―100日を切ったW杯日本大会、4年前の反省をどう生かすか

「4年に一度じゃない。一生に一度だ」――。こんなフレーズをキャッチコピーにして、ラグビーのワールドカップ(W杯)が9月、日本に初めてやって来る。世界3大スポーツイベントといわれる祭典を、ラグビー界はどう迎え、どう未来につなぐべきか。この男に聞いた。五郎丸歩、33歳。近年、日本ラグビー界で、最もその名が世間に知られた名FBだ。

 2015年W杯イングランド大会。「スポーツ史上最大の番狂わせ」といわれた南アフリカ戦の勝利など、史上初の大会3勝に貢献し、キックを蹴る際のルーティーン「五郎丸ポーズ」は多くの国民の脳裏に焼き付いている。以降、海外トップリーグも経験し、今なおヤマハ発動機で第一線を走り続ける中、ラグビー界の今、そして、未来に何を思うのか。

 W杯開幕まで100日を切った中、「THE ANSWER」の独占インタビューに応じ、ラグビーの本質的な魅力、W杯後に遺すべきレガシー、そして、自身のキャリアの未来像まで、本音で語り尽くした。

 ◇ ◇ ◇

 日本にラグビー協会が創立されてから90年余り。社会が大きく移り変わり、スポーツ界もあまたの競技が栄枯盛衰を繰り返す中、ラグビー界も挫折と苦悩を糧に、一歩ずつ発展を遂げてきた。しかし、第一線を走り続けるトップ選手目線で、ラグビー普及の現状について問うと、危機感を隠そうとしなかった。

 五郎丸は「感覚として満足はしていない、全く」と目つきを鋭くした。「もっと普及してほしい、という思いの方が強い。それは2015年のW杯の前もそうだし、W杯の後はより大きな思いとなっている」。言葉はいきなり、語気が強まった。

 なぜ、求める理想に届いていないのか。要因の一つとして考えるのが、日本の最高峰にあたるトップリーグで“企業スポーツ”の形がとられていること。03年から発足した16チーム制のリーグは、各チームに母体となる企業名が冠され、昨今の日本プロスポーツ界のトレンドともいえる“地域性”が薄い。

「野球、Jリーグはもちろん、最近はバスケもそう。今、日本で脚光を浴びているのはプロリーグで、地域に根差した形をとっている。そういう中で、ラグビーはいろんな問題を抱えている。プロリーグを作ろうとした場合に試合数は今のままでは全く足りないし、そもそもプロリーグにする必要も本当にあるのか。課題が山積みにありすぎて、どこから手をつけるかという問題もある」

 バスケットボールは長年、課題として抱えていた「トップリーグの統一」を目指し、プロリーグ「Bリーグ」を16年に発足。地域性を前面に押し出し、発足から3年、年間動員数1位の千葉ジェッツを筆頭に、革新的な取り組みを各クラブが行い、年々盛り上がりが高まっている。モデルケースとすべき事例もある中で、ラグビー界が直面している構造的な課題は複雑な現状だ。

 そうした中で転機となり得る、またとないチャンスが9月のW杯だろう。スポーツ界で五輪、サッカーW杯に次ぐ世界3番目のビッグイベントを日本で観ることができる。大々的にPRされ、今までルールすら知らなかった人がラグビーという競技を目にし、肌で感じることができる。日本の“スポーツの序列”を覆す、起爆剤となる可能性がある。五郎丸もその意義を実感している。

1 2 3 4
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集