井上尚弥は強さだけじゃない 殿堂入り英王者が「私好みだ」と惚れ込んだ一面とは
マクギガン氏は井上のリング外の振る舞いにも拍手
リング上で戦慄のKO劇を見せる井上だが、その紳士ぶりにもマクギガン氏は拍手を送っている。
「彼のファイターとしてのクオリティもさることながら、私は彼の態度を愛している。グラスゴーで会った彼はファイターはこうあるべき、という全てを備えている。ファイターには無慈悲であり、相手を大の字に倒してもらいたいものだが、ロープの外では魅力と優雅さを保たなければいけない。彼は全てを体現し、それ以上ですらある」
グラスゴーで実際に出会った26歳の王者はどこまでも好青年だったという。そして、公開練習でロドリゲスのトレーナーが井上陣営を挑発した騒動も把握していた。
「ロドリゲスのコーチ、ウィリアム・クルーズがイノウエの父で、トレーナーのシンゴの撮影を止めようとし、公開練習では言い争いも起きた。シンゴはただ引いた。イノウエ陣営から誰もリアクションはなかった。彼らはリングの中に答えがあると知っていたのだ。イノウエは同席していなかったが、承知していた。あの夜に彼なりの返事をすることを誓っていたのだ」
クルーズ氏の挑発に一切乗らず、リングで圧倒した井上と陣営の大人の対応にも感じるところがあったようだ。決勝では5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)と戦うが、マクギガン氏には結末は見えているという。
「ドネアはバンタム級では依然として実力者だが、イノウエは全員吹き飛ばしてしまうだろう。私好みのファイターなんだよ。リング上でも外でも」
リング上で見せるハードパンチと、対照的な普段の優雅な姿勢。英ボクシング界のレジェンドもすっかりモンスターのギャップに心を鷲掴みにされたようだ。
(THE ANSWER編集部)