ライバル2人が“駆け付け練習”のなぜ? X話題の真相、デュプランティス3本目直前に「奴は100%決めると…」【東京世界陸上】
陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)で15日に行われた男子棒高跳び決勝はアルマント・デュプランティス(スウェーデン)が6メートル30の世界新記録をマークして3連覇を達成。五輪も含めると世界大会で5連覇となった。国立5万人に熱狂を呼んだラスト3本目、話題を呼んだのが銀メダルのエマノイル・カラリス(ギリシャ)と4位のサム・ケンドリクス(米国)の“世界新達成予行演習”だ。SNSでバズったシーンの真相に迫った。(取材=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

東京世界陸上
陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)で15日に行われた男子棒高跳び決勝はアルマント・デュプランティス(スウェーデン)が6メートル30の世界新記録をマークして3連覇を達成。五輪も含めると世界大会で5連覇となった。国立5万人に熱狂を呼んだラスト3本目、話題を呼んだのが銀メダルのエマノイル・カラリス(ギリシャ)と4位のサム・ケンドリクス(米国)の“世界新達成予行演習”だ。SNSでバズったシーンの真相に迫った。(取材=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
誰よりもデュプランティスの世界新記録を待ち望んでいたのは、この2人かもしれない。
1、2本目を失敗し、チャンスは残りあと1回。すると、カラリスとケンドリクスは何やら短距離のスタートのような構えをして、一気にピットの方向に走り出す。数メートルダッシュすると、戻ってくる。まるで世界新達成を真っ先に祝福する予行演習をしているようだった。
この場面を撮影した観客の投稿がSNSで話題に。果たして、その真相は――。
16日に行われた表彰式後、カラリスを直撃すると「そうなんだ!」と認めた。「もちろんヤツなら決めるって俺たちはわかっていたから。だから『よっしゃ、一緒に駆け寄るぜ! いいだろ?』って言ってたんだ」。ケンドリクスの発案だったといい、カラリスは「俺たちがリラックスできるようにいつも楽しいことをしてくれる。ナイスだったよ。楽しかったさ」と楽しそうに明かした。
カラリスといえば、その直前にはデュプランティスの隣に座って小型扇風機で涼ませ、挑戦をサポートしたことも話題に。TBSの中継にそのシーンが映っており、心優しい人柄は日本でも広く知られることになった。

予行演習の発案者だったケンドリクスは、前日の取材で「俺らはみんなカバンを下ろして、観客の方を向いて『アイツ(デュプランティス)がこれを決めたら俺らは駆け寄るからな』って言ったんだ。アイツなら100%決めるって思っていたから」と振り返った。
2人に共通するのは、ライバルという関係を超えたデュプランティスへの純粋なリスペクト。ケンドリクスは言う。
「これは俺のショーじゃない。俺の栄光じゃない。でも俺はスポーツの大大大ファンなんだ。彼の後ろに立って安全を祈っていた。だって、アイツがやろうとしていたことは危険なことなんだ。俺らはみんな彼にとてつもないリスペクトを持っている。多くの人がビビッてやってみようとさえ思わない危険なスポーツなんだ」
その言葉には、ボウルター(棒高跳び選手)としての誇りと矜持が滲んでいた。
迎えたラスト3本目。デュプランティスが6メートル30のバーを越えると、誰よりも速く駆け出した。
そして、国立5万人の大歓声を浴びながら抱き合う3人の歓喜が訪れた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)











