「2人の命が奪われることは過去になかった」 米ボクシング重鎮、リング事故続く日本を支援へ
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が12日、名古屋市内で会見を行った。14日に同市のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との団体内統一戦を行う。会見後には米興行大手・トップランク社のCEOボブ・アラム氏が取材に応じ、日本のボクシング界でリング事故が続いていたことについて言及した。

米医師との情報の共有を検討
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が12日、名古屋市内で会見を行った。14日に同市のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との団体内統一戦を行う。会見後には米興行大手・トップランク社のCEOボブ・アラム氏が取材に応じ、日本のボクシング界でリング事故が続いていたことについて言及した。
井上対アフマダリエフの試合を観戦予定のアラム氏は、会見後に取材に応じ、「死亡でなくてもリングの中で、どのような怪我であれ、選手が傷をつくのは大変悲劇的なこと。そしてボクシング史上、同じ興行で2人の命が奪われることは過去になかった」と神妙な面持ちで語った。その上で「私が今考えているのは、試合前にしっかりと選手の体調をしっかりとスクリーニング(検査)することが必要」と強調した。
日本ボクシング界では昨年2月、穴口一輝さんが死去。2023年12月に堤聖也戦で判定負けした後、右硬膜下血腫により緊急の開頭手術を受けていた。今年8月には神足茂利さん、浦川大将さんの2選手が同じ興行で亡くなっている。また5月には前IBF世界ミニマム級王者・重岡銀次朗さんがタイトルマッチ後に開頭手術。地元・熊本の病院に転院していたが、一般病棟から回復期病棟へ移ったことが伝えられていた。
アラム氏は、米ラスベガスでは格闘技やアメリカンフットボールといったコンタクトスポーツにおいて、選手の脳のダメージを検査するシステムが導入されていることを説明。「日本に来て、ボクシング関係者に必要な情報や手だてを共有する機会を作れるようにしたい」と支援に積極的な姿勢を示した。ボクサーを診断している現場の医師とも、既に協議を進めているという。
さらに「日本はドクターもいるし施設も揃っているが、どういった段階を踏んで選手を見ていかないといけないのか、知識の問題だと思う。そういったところを共有したい」と続けた。
会見でリング禍が続いていることについて問われた井上は「この件に関して自分自身思うこと、感じることはすごくありますが、明後日試合を控えた今発言することはできない。また改めて、必要な場、必要なところで発言していきたい」と現状の思いを口にしている。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
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