9月14日に井上尚弥VSアフマダリエフ

　ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が10日、都内で会見。9月14日に愛知・IGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ（ウズベキスタン）との防衛戦を行うと発表した。「キャリア最大の強敵」と位置づけた強者との一戦。なぜ百戦錬磨の井上はこの男を警戒するのか。興行は、NTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信。戦績は32歳の井上が30勝（27KO）、30歳のアフマダリエフが13勝（10KO）1敗。

　怪物が慎重な構えを見せた。井上は4団体と世界で最も権威あるとされる米専門誌「ザ・リング」の計5本ベルトとともに会見に登場。次戦を勝てば世界4階級制覇王者の“カネロ”ことサウル・アルバレス（メキシコ）を抜き、単独で世界最多5度目の4団体同時防衛となる。輝かしい功績を築いてきたが、この日は一層気を引き締めた表情を見せた。

「全てのボクシングスキルに注意を払いながら、しっかりと組み立てていく。細かな技術、フィジカル、テクニックが詰まった選手なので、警戒心を高めてトレーニングを積んでいきたい」

　アフマダリエフは元WBAとIBFの統一王者で、現WBA暫定王者。2016年のリオデジャネイロ五輪では、バンタム級で銅メダルを獲得した。井上は「アマチュアのキャリアとか技術がある選手は、ビッグマッチの時に全てを変えられる力を持っている」と強調。アフマダリエフもその一人とし「自分は戦い方を計画的に立てないといけない」と力を込めた。

　5月に行われた前戦では、ラモン・カルデナス（米国）に8回TKO勝ちしたが、ダウンを先取されていた。奇しくもカルデナスとアフマダリエフのトレーナーは同じ。「こちらの陣営としては少し嫌だなという気がしますけど……」としながら「選手が変わると違うと思う。向こうが思っている『井上』ではないと、当日そう思わせるボクシングをしたい」とプライドを込めた。

「キャリア最大の強敵」と位置づけた相手。高いKO勝率を誇る井上も「今回は判定決着でもいいと思っている」と話すほどだ。ただ「そういった時の井上尚弥が一番強い」とKO宣言しない中にも自信をのぞかせる。