井上尚弥―アフマダリエフ戦を発表

　ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が10日、都内で会見。9月14日に愛知・IGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ（ウズベキスタン）との防衛戦を行うと発表した。会見では、珍しくKO宣言はなし。勝利に徹する意志の表れでもあり、逆にこの言葉に震えるボクシングファンもいた。

　アフマダリエフは現WBA暫定王者の30歳。2023年4月にマーロン・タパレス（フィリピン）に1-2の判定負けを喫し、WBAとIBFの王座を手放したが、これがキャリア唯一の黒星。所属ジムの大橋秀行会長も「井上尚弥のデビューから13年が経ちますが、最強の強敵になると思う」と語り、井上も「キャリア最大の強敵と思うほど、緊張感も警戒心も高め」と表現するなど、その実力は本物と認めているようだ。

　ド派手なKO勝ちを積み重ねてきた“モンスター”だが、今回は慎重で「今回は判定決着でもいいと思っている。しっかり勝ち星を取りに行く」と語った。KO宣言はなかったが、続けて「そういった時の井上尚弥が一番強い。KO宣言しないときほど、慎重に戦いたいと思っている。そういった時こそ、劇的なKOシーンが12ラウンドの中で見られる。しっかり12ラウンド組み立て、ボクシングをしていく」とも語った。

　この「判定決着でもいい」という珍しい発言に、X上のファンは逆に震撼していた。「モンスターがKO宣言しない判定勝負でいいって言うの逆に怖すぎるだろw」「『行けたら行く』と井上尚弥の『判定勝ちでもいい』程信用ならない言葉は無い」「判定決着を口にした井上尚弥は最強です」「尚弥古参（あっ）　3分前後で終わりそう…」「とにかく勝つ事に重点を置く。凄く期待出来る。でも中盤以降でKOしちゃうんだろうけど」「これを信用したことは一度もありません」「絶望的すぎるな、対戦相手からしたら」などと書き込みが相次いでいた。

　アフマダリエフに勝利したタパレスに、井上は23年12月にKO勝ちしている。今回はタパレスが来日し、井上のスパーリングパートナーを務めるという。会見にはWBO世界バンタム級王者・武居由樹（大橋）も同席。武居は同興行で同級1位クリスチャン・メディナ（メキシコ）との防衛戦に臨む。興行は、NTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信。戦績は32歳の井上が30勝（27KO）、30歳のアフマダリエフが13勝（10KO）1敗。