大相撲で現場の報道陣を騒然とさせた貴花田の「不撓不屈」 伝達式口上、四字熟語のルーツ
日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で臨時理事会と春場所番付編成会議を開き、25歳の大関豊昇龍(立浪)の第74代横綱昇進を決定。都内の立浪部屋で行われた昇進伝達式に臨んだ豊昇龍は「気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進致します」と口上を述べた。使用した四字熟語は大関昇進時と同じだったが、そもそも大関、横綱昇進時になぜ四字熟語が使われるようになったのか。遡ると、ルーツは32年前。相撲ブームを作った力士がきっかけだった。
![昇進伝達式に臨んだ豊昇龍(中央)【写真:産経新聞社】](https://the-ans.jp/wp-content/uploads/2025/01/29130615/20250129_Hoshoryu_sankei.jpg)
注目される昇進時の「口上」
日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で臨時理事会と春場所番付編成会議を開き、25歳の大関豊昇龍(立浪)の第74代横綱昇進を決定。都内の立浪部屋で行われた昇進伝達式に臨んだ豊昇龍は「気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進致します」と口上を述べた。使用した四字熟語は大関昇進時と同じだったが、そもそも大関、横綱昇進時になぜ四字熟語が使われるようになったのか。遡ると、ルーツは32年前。相撲ブームを作った力士がきっかけだった。
【特集】本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手(W-ANS ACADEMYへ)
相撲界で大関、横綱への昇進力士が決まると、日本相撲協会が部屋に使者を送り、昇進の旨を伝える。これを受けて、力士は師匠、おかみさんとともに「謹んでお受けします」から始まる口上を述べる。その後に続く言葉には特に決まりはなかったが、1993年初場所後に史上最年少、20歳5か月での大関昇進を決めた貴花田(これを機に貴ノ花に改名、のちの貴乃花)が「今後も不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で相撲道に精進いたします」と口上を述べたことが「四字熟語」の始まりとなった。
当時はそのような風習もなかったため、現場のメディアは騒然。まずどんな漢字なのか、どんな意味なのかを調べることからスタートした。ちなみに、同じタイミングで史上初の外国人力士による横綱昇進を果たした曙は、伝達式で「横綱の地位を汚さぬよう、けいこに精進します」と口上を述べた。
貴花田の大関昇進から3場所後の1993年名古屋場所後に大関昇進した実兄の若ノ花(後の三代目若乃花)が伝達式の口上で「一意専心(いちいせんしん)」を使用。“若貴”の2人は横綱昇進時にそれぞれ「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」「堅忍不抜(けんにんふばつ)」と別の四字熟語を使った。また、同部屋だった貴ノ浪も1994年初場所後の大関昇進時に「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」を使った。
いわゆる「旧・二子山部屋」勢の力士たちが四字熟語を使って話題となったことが、その後の力士にも波及。ただ、若貴らのような難読四字熟語ではなく、武双山の「正正堂堂」、白鵬や日馬富士の「全身全霊」、照ノ富士の「一生懸命」など、一般的にも使われるような言葉もあった。
直近では大の里が昨年秋場所後に大関昇進を果たした際に「唯一無二」を口上で使って話題になった。
(THE ANSWER編集部)