ゲーム好きの少年・宇野昌磨が氷の虜になるまで 重ねた21年、最後は4位でも「やり切った顔」に
最後まで宇野らしい会見、自分自身へ「彼はよくやったなと思う」
この日の笑顔に辿りつくまでには苦悩もあった。共に日本フィギュア界を引っ張ってきた羽生結弦、しのぎを削ってきたネイサン・チェンが競技会から先に去った。「凄く寂しい気持ちと、取り残された気持ちがあった」。2年前から頭に引退がちらつき始めた。
落ち込んでも、悩んでも、スケート靴を履けば無心で打ち込めた。原動力は自分でも「正直、分からないです」。かつては大好きなゲームのためにスケートを頑張っていた少年が、いつしか競技の魅力に取りつかれていた。
「フィギュアスケートだけを全力でやってきた。もちろんゲームも全力でやってきたんですけど(笑)。新しい道というのをあまり考えていなくて、いろんなところに視野を広げて、いろんな経験をしていきたいと思っています」
真面目に今後を語った後「競技から離れた分、ゲームにも費やせる時間が増えるかな」とジョークも忘れないお茶目な26歳。昨年9月のインタビューに応じる自身の姿を見て「引退して間もないですけど、彼はよくやったなと僕は思います」とも笑顔交じりに話した。
今後はプロ転向を見据える。「前向きな気持ちで、まだまだスケートを続けていく意味でも全然悲しい気持ちはない。(プロスケーターは)自分の生き方にマッチしていると思う。すごく楽しみ」。退席時は何度もぺこぺこと頭を下げ、お辞儀を繰り返すようにして扉の向こうへ。最後まで宇野らしい引退会見だった。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)