CS出場圏内から“転落”危機 バスケ島根主将、残り8秒で決めた意地の3Pに込めたメッセージ
敗色濃厚の終盤に示した「100%を出しきる」姿勢
敗色濃厚となった試合終盤に、安藤自らが「出しきる」ことをプレーで示すシーンがあった。第4クォーター残り15秒、11点差がついたところで島根がタイムアウトを取り、直後のオフェンスで安藤が執念とも言うべき3ポイントシュートを沈めて追いすがる。試合終了まで残り8秒で決めたこの得点は、チームとしてしっかりデザインされたプレーから生まれたものだったが、同時に安藤がプロキャリアを通じて体現し続ける部分を示した瞬間でもあった。
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「プロになった頃から、勝敗以前に(できることを)出しきって試合を終える。そのなかで、最後に勝敗がどうなるかと考えますし、ここ最近でそうした意識が強くなっています。勝敗を気にすると、例えば20点差開いた時に気持ちが切れてしまうような試合が、どの国の、どのリーグにおいてもあると思います。そこから『もしかしたら』という展開があるかもしれないと考えるからこそ、出しきる意識を持つことが大事なんです。試合が終わって、今日1日でベストなプレーをできたか、100%を出しきれたか、それをいつも自分自身に問うようにしています」
1月のBリーグオールスター以降で6勝7敗と足踏みが続く島根。目下11連勝と勢いに乗る名古屋ダイヤモンドドルフィンズに西地区2位の座を奪われただけでなく、8連勝で猛スパートを仕掛けてきた群馬クレインサンダーズとも勝敗で並ばれた。直接対決での得失点差で上回り、島根がCS出場圏内となるワイルドカード争いの2番手に位置しているが、ここからチームが奮起できなければ、一気に逆転されかねない状況でもある。チームとして正念場に立たされたなかで、安藤は改めてチームとして進むべき方向について言及した。
「ヘッドコーチやアシスタントコーチなどスタッフ陣も含めて、1人ひとりが組織としての意識や理解をしなくてはいけないと思います。(オフェンスにおいての)スペーシングなんかはチームで決まっていることはありますけど、逆に相手の裏を突いていく動きも大事になると思います。相手のディフェンスが集中している時に、外で待っているだけでは厳しい。上手く裏をかくようなプレーを大事にするというか、伸ばしていけると良いように思えます」
安藤やビュフォードといった「個」の強さが注目を集め、躍進を続けてきた島根。ただ、その裏ではケイや白濱僚祐に限らず、チーム全員が40分間泥臭く戦うことを厭わなかったという面も確かに存在する。島根がもう一度浮上するには、「集団」として試合終了のブザーが鳴る瞬間まで勝利を求めて「出しきる力」が試されているはず。レギュラーシーズン残り19試合、安藤は今一度チーム全体へ奮起を促している。
(荒 大 / Masaru Ara)