井上尚弥が怒りをぶつけた33秒 遅刻に怒った5年前を彷彿、上から目線のフルトンへ「上等だよ」
モンスターが新たな領域へ「1.8キロがどれだけデカいか。証明される」
計量後のルールミーティングで両陣営、日本ボクシングコミッション(JBC)らで協議。日本のローカルルールでは拳に直接テープを巻き、その上からバンテージ、さらにもう一度テープを巻く。しかし、米国外で初めての試合となるフルトンの陣営は分量の少なさを指摘し、いつも米国で採用される方法と異なることを嫌ったという。
井上陣営が拳の怪我防止のため「ガーゼを1枚かませて固定したい」と主張すると、フルトン陣営は理解を示し、日本と北米のABC(ボクシング・コミッション協会)ルールとの折衷案で決着。結果的に、手の甲と手首へのガーゼ→テープ→バンテージ→テープの順番で巻くことで和解した。
出席したJBCの安河内剛・本部事務局長は「フルトン側も納得して問題にはならなかった。フレンドリーに終わりました」と説明。通例どおり、当日も選手がバンテージを巻く際は相手陣営が立ち合う。グラブは井上が日本製のウィニング社、フルトンが米国製のグラント社を使用。メーカーが違うため、フルトン陣営の求めに応じ、その場で重さを量った上で問題なかったという。
井上は昨年12月にバンタム級で4団体統一。今年1月に王座を返上し、1階級上で1.8キロ重いスーパーバンタム級に転向した。もともとの自身の体格を上回る相手が多い新階級への挑戦。過酷と知られる元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーのフィジカルトレーニングを受け、肉体強化を図ってきた。
「もう120%です。しっかりと筋肉をつくり上げた。ここからリカバリーして、明日(25日)また違った体を見せられると思います。たかが1.8キロですけど、その1.8キロがどれだけデカいか。明日の自分の動きでわかると思うし、その1.8キロの壁が逆にどうなるのかも明日証明される。フィジカル的なことだったり、耐久力です。
1つ階級を上げて、自分がバンタム級で通用したことが通用するのか、あるいはしなくなるのか。まだまだ未知な部分があるので、明日自分としてはそれを証明したい。打ち合ってくれたら、もちろん爆発的なものを出せると思う。でも、明日は技術戦になると思うので、そういう感情(怒り)は抑えて頭を使っていきます」
さあ4階級制覇へ。また強くなったモンスターが新たな領域に突入する。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)