井岡一翔、+2.9kg超過フランコから涙の世界王座獲得! 前王者にも配慮「ナイーブな気持ちがあったと思う」
ボクシングのWBA世界スーパーフライ級(52.1キロ以下)タイトルマッチ12回戦が24日、東京・大田区総合体育館で行われ、同級6位・井岡一翔(志成)が前王者ジョシュア・フランコ(米国)に3-0の判定勝ち(115-113、116-112×2)した。引き分けだった昨年大晦日からのダイレクトリマッチ(直接の再戦)。試合前は井岡の大麻成分検出騒動、フランコの体重超過による王座剥奪とゴタゴタ続き。井岡が勝てば王座獲得、引き分けか負けなら空位のままという変則的な条件だった。戦績は34歳の井岡が30勝(15KO)2敗1分け、27歳のフランコが18勝(8KO)2敗3分け1無効試合。
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
ボクシングのWBA世界スーパーフライ級(52.1キロ以下)タイトルマッチ12回戦が24日、東京・大田区総合体育館で行われ、同級6位・井岡一翔(志成)が前王者ジョシュア・フランコ(米国)に3-0の判定勝ち(115-113、116-112×2)した。引き分けだった昨年大晦日からのダイレクトリマッチ(直接の再戦)。試合前は井岡の大麻成分検出騒動、フランコの体重超過による王座剥奪とゴタゴタ続き。井岡が勝てば王座獲得、引き分けか負けなら空位のままという変則的な条件だった。戦績は34歳の井岡が30勝(15KO)2敗1分け、27歳のフランコが18勝(8KO)2敗3分け1無効試合。
会場は異様な雰囲気に包まれた。特にフランコの入場、選手紹介では「オーバー!」と体重超過を非難する野次が多数。ブーイングが注がれた。ホームの井岡には日本人ファンから拍手喝采。そんな中、異例続きで迎えた世界戦のゴングが鳴った。
井岡は初回、第1戦と同様に積極的に前に出る相手に対し、細かくパンチを出してアッパーやカウンターの左フックを当てた。2回、ボディーが効いたところを畳みかけると会場は大歓声。互いの拳が交錯する激しい展開が続いた。井岡はガードを固めて接近戦。4回は左フックなどを被弾したが、再びボディーで下がらせた。5回には猛連打。さらになぶるように左フックを連発するなど、ヒッティングでフランコの右目上をカットさせた。
中盤は上下を打ち分け、相手が出れば冷静に距離を取る。それでも手を緩めないフランコに被弾する場面もあったが、パンチをかわし切って踊るようなジェスチャーを取った。11回も流血しながらも好戦的なフランコ。最終12回も互いのパンチが交錯したが、両者とも倒れることはなかった。終了のゴング直後、井岡はコーナーに登って勝利をアピールした。ジャッジを聞いた井岡は顔を歪ませ、涙を拭った。
リングインタビューでは、井岡は「諦めずに今日まで来たけど、いろんな方の支えで返り咲くことができました。ありがとうございました!」と涙。「この瞬間をみんなに見せたいと。未来の子供たちにこうして必ず報われる姿を見せたかった。こうして見せられてよかったです。自分を保てたのもここにいるたくさんの方の支えのおかげ」と感謝した。
「フランコ選手、前回同様に強かったです。ハートも強い。いろんな角度からのパンチも多彩だし、グレートなチャンピオン。そのグレートなチャンピオンが日本に2度来てくれて。日本は環境は整っているけど、アウェーでいろんな不安あったと思う。僕もそうだけど、フランコ選手もナイーブな気持ちがあったと思う。ここで戦う僕たちしか分からない部分があったと思う。こうして2人で拳を交えて戦い抜いて、お互いやり尽くしたので満足しています。一度王座を返上して、もう一度世界チャンピオンになるのは並大抵じゃないと思い知らされた。王者の重み…もう一度チャンピオンベルトを巻くには相当な心技体がないとこの場所に立てないと、1ラウンド1ラウンド、この場に来てからも思った。何度も言いますが、でもこうして皆さんのおかげでチャンピオンベルトを獲ることができたので感謝しています。
チャレンジャーとしてやる僕を見て、挑み続ける気持ちを見てほしかった。皆さんに何か伝わったら、明日からに繋げてくれたら嬉しいです。伝えたいのは僕たち日本人は強いんです! 勝ったからではなく、日本人が持つ志が未来の子供たちに届くと思う。未来の子供たちのために戦っていきましょう」
WBO王者だった井岡は、昨年大晦日にWBA王者フランコとの王座統一戦で引き分け。今回はWBO1位だった中谷潤人(M.T、現WBO王者)との指名試合の義務があったが、王座を返上してまでフランコとのダイレクトリマッチを選んだ。しかし、第1戦前のドーピング検査で大麻成分が検出。陣営は潔白を主張したが、日本ボクシングコミッション(JBC)は6月21日に事実を公表した。
世界ドーピング防止機構(WADA)の基準を下回る数値のため、今回の興行出場に問題はない。しかし、今度はフランコが23日の前日計量でリミットを3.1キロ上回る55.2キロの大幅超過。約2時間後の再計量も2.9キロ超過で王座剥奪された。3.1キロ、2.9キロともに日本開催の世界戦史上最悪の超過量。両陣営の協議で試合開催となり、フランコにのみ24日午前10時の当日計量を設け、上限130ポンド(58.97キロ)を下回る58.0キロでパスした。
井岡は前日計量を52.0キロで一発パス。フランコは最も過酷とされる残り3キロを落とさなかったため、減量による消耗が少ない。前日計量の3.0キロ差は井岡にとってハンデの大きい条件だったが、本人の強い意思で開催に至った。日本人唯一となる世界4階級制覇王者の井岡は、試合前まで日本人最多の世界戦通算20勝だった。
(THE ANSWER編集部)