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W杯で期待する「序列を覆す挑戦」 適性見抜いた恩師が信じる板倉滉&田中碧の才能

ドイツやスペインに勝てば「自分たちのステージが変わる」

 プロになってからは、自覚してストイックに自ら向上を図った。

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「同級生が集まる時に、碧には連絡をしても来ないんだそうです。毎日寮とグラウンドの往復ばかりで、一切遊んでいなかったらしい。『家で何してるんだ?』と聞くと『映像を見てます』と言っていたから、どこでリラックスしているのか分からないですよね」

 髙﨑は常々「仲間の力を引き出すのがサッカーだ」と伝えてきた。逆にピッチ上で「オレのサポートしろよ」などという声が聞こえた時は、「そんな情けない言葉は使わないようにしよう」と訴えかけた。

「欧州や南米に助っ人として行くなら、サポートのない局面など自分で打開できなければ、高く買ってはもらえない」

 そういう揺るぎない信念があった。

 田中には、人の特徴を見極め、力を引き出していく高い能力があるという。

「例えば、受け手のタイプによって出すパスや要求は変わってくる。味方の特徴を把握し活かしていく。碧には、それができる。逆に今、ドイツでもがいているのは、そこなのかもしれません」

 カタールで4人の教え子たちが、日の丸をつけて戦う。髙﨑は大きな期待を抱いて、それを見守る。

「もし(ドイツやスペインに)勝てば、間違いなく自分たちのステージが変わり、日本のランキングも上がる。自分たちで序列を覆せる大きな挑戦になります」

 日本を勝たせる存在であってくれ! 髙﨑はそう願っている。(文中敬称略)

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(加部 究 / Kiwamu Kabe)


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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