W杯で期待する「序列を覆す挑戦」 適性見抜いた恩師が信じる板倉滉&田中碧の才能
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会に臨む日本代表メンバー26人の中に、板倉滉(ボルシアMG)、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)、久保建英(レアル・ソシエダ)と川崎フロンターレU-12に所属した選手が4人も含まれている。中学、高校と進むにつれて数多の「天才」が消えていく厳しい世界で、同時に4人も名を連ねるのは簡単なことではない。川崎U-12はどのように才能を発掘し、伸ばしたのか。監督として少年時代の4人を指導した髙﨑康嗣氏(現・テゲバジャーロ宮崎監督)のインタビュー。最終回では板倉と田中の2人が小学生時代から秀でていた部分について、間近で見ていた1人として語った。(取材・文=加部 究)
川崎U-12・高崎康嗣元監督インタビュー第4回、板倉滉を「後ろで育てる」と決めた理由
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会に臨む日本代表メンバー26人の中に、板倉滉(ボルシアMG)、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)、久保建英(レアル・ソシエダ)と川崎フロンターレU-12に所属した選手が4人も含まれている。中学、高校と進むにつれて数多の「天才」が消えていく厳しい世界で、同時に4人も名を連ねるのは簡単なことではない。川崎U-12はどのように才能を発掘し、伸ばしたのか。監督として少年時代の4人を指導した髙﨑康嗣氏(現・テゲバジャーロ宮崎監督)のインタビュー。最終回では板倉と田中の2人が小学生時代から秀でていた部分について、間近で見ていた1人として語った。(取材・文=加部 究)
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2006年に創設された川崎フロンターレU-12の1期生最上級生の中で、唯一W杯カタール大会の代表に選ばれたのが板倉滉である。当時チームの指揮を執っていたのが、現在J3テゲバジャーロ宮崎の監督を務める髙﨑康嗣だった。
「滉は、とにかく明るく元気な子で、本人はずっと『FWをやりたい』と言っていました。でも僕は、いや後ろで育てよう、と決めました。これは根拠のない勘のようなものでしたが、後ろから前へグッと出ていく推進力が半端でなかったし、キックが綺麗で配球力が高く、これは後ろからゲームを作ったほうがいいな、と思ったんです」
FWとして考えると、いくつか疑問符が浮かび、逆に後ろに置けば二重丸がついた。
「上背があり、バネもある。小学生時代でも、よく浮いている感じがあり、センターフォワードというより後ろから跳ね返す像がイメージできたんです。一方でFWとしては、ボールの引き出し方や身体を張ってキープ、さらには反転して前へ出ていくスピード感が少し足りない気がしました。もちろん、やっていけばできるようになったのだろうけど、センターバックやボランチのほうがトップランクまで行けそうだと思ったんです」
それでも中学から高校にかけては苦悩した時期もあった。
「中学1、2年生の頃は、一番苦労したと思います。周りが成長したこともあり、辞めるとも漏らしていたらしい。中学3年生で180センチを超えてからは今のスタイルですが、高校1年時はいわゆるクラムジー(急激な成長で身体のバランスが一時的に崩れる)で思うように動けず、再び苦労していました」