W杯日本代表、なぜ“大学経由”選手が急増? 02年大会以降で最多9人の背景にある事情
近年、大学サッカーへの注目が集まっている。というのも、Jリーグクラブのルーキーとして活躍する選手やチームの中心となる選手、そしてA代表の新星に大学出身者が増えたからだ。
前回大会の3人から急増、背景にある大学サッカーのレベル向上
近年、大学サッカーへの注目が集まっている。というのも、Jリーグクラブのルーキーとして活躍する選手やチームの中心となる選手、そしてA代表の新星に大学出身者が増えたからだ。
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例えば4年前のワールドカップ予選で、日本代表を本大会に導く重要なゴールを決めたのは山口蛍(ヴィッセル神戸)や井手口陽介(セルティック)ら、Jユースからプロの道へ進んだ選手だった。だが、今回のカタール・ワールドカップ(W杯)はどうだろう。アジア最終予選で4試合連続ゴールを決めた伊東純也(スタッド・ランス)や、出場権を獲得した敵地オーストラリア戦で2ゴールを記録した三笘薫(ブライトン)の名が上がる。
そしてカタールW杯本大会に挑むメンバーには、“大学経由”の選手が9人選ばれた。今大会の登録メンバー数が26人と、前回大会までより「3枠」増えているとはいえ、2002年日韓W杯以降では最多だった3人(02、10、18年大会)を大幅に上回っている(※1998年フランスW杯メンバーの大半は高校卒業が93年Jリーグ創設以前の選手で、当時は大学進学が主流だったため11人を数えた)。
なぜ、今のタイミングで“大学経由”組が盛り返してきたのか。そこには様々な背景や理由がある。
1つは大学サッカーのレベル向上にある。サッカーをはじめとした「スポーツ」を売りの1つとして経営を進める流通経済大や東京国際大、4年連続で卒業生を川崎フロンターレへ輩出している桐蔭横浜大ら新興勢力が力をつけ、それに伴い中央大や筑波大、早稲田大といったかつての強豪が関東2部リーグに降格する時代となった。
結果として関東大学サッカーは群雄割拠となり、1部、2部ともに強豪がひしめく状態になった。その中で行われるリーグ戦の強度の高さや真剣勝負の度合いは年々高まっており、大学の選手たちが今まで以上にレベルアップしている1つの大きな要因でもある。この強度や真剣勝負のレベルは、プロに負けず劣らずと言っていい。
そして、その土壌づくりを牽引するチームとして、今年の関東王者である明治大や九州の雄・福岡大が挙げられる。
特に関東のレベルを引き上げている存在として、明治大の存在を語らずにはいられない。「運動量・球際・切り替え」の三原則をベースとして、スピード感や90分落ちない強度あるサッカーを展開しているが、それを担うのが、Jユースや高校サッカーで“うまい”とされていた選手たち。テクニックを備えた彼らがハードワークするからこそ、言うまでもなく強い。