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B1中地区の首位快走 チーム改革に挑む三遠、新任の大野HCが選手にかけた“魔法”

大野HCが選手に言い続けていること

 さらに“両立“という観点で言えば、選手の個性を引き出しつつ、チームとしての一体感を醸成しているという点にも恐れ入る。

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 高いポテンシャルを備えながら、過去2シーズンは力を発揮しきれずにいたサーディ・ラベナは、平均5.9アシスト(リーグ6位)と新たな才能を開花。B2・熊本ヴォルターズから加入した佐々木隆成や、19歳の高橋快成もミスを恐れずのびのびとプレーしているのが見て取れる。

 古巣のシーホース三河相手に約19分の出場で12得点と効率よく得点を挙げたリーグ屈指のスコアラー・金丸晃輔は「僕はボールを触らないといけない(シュートを打つことでリズムを作る)選手なので、大野さんはじめ選手全員が僕に打たせようとしてくれていますし、今は楽しくプレーできています」と表情も明るい。

 大野HCは一体、どのような魔法をかけたのだろうか。

「自分がこういうチームを作りたいということを言い続けている。それを本当にこの人は曲げないんだと選手たちが気づいて、それに向けて自分ができること、チームにとってプラスになることは何かを探し始めてくれたところが一番大きいかなと思います。

 ゼロから1つずつチームを作っている段階で、本当に全員でチームの雰囲気を良くしてくれている。ハートのいい選手たちばかりで、素直で献身的。実は逆に素直すぎるところに戸惑ってしまった部分もありました。(一時は)言われた通りにやりますみたいになってしまって。いや、そうではなくて、自分で判断するためのソリューションを養うのが練習なんだよということに、ようやく選手が気づいてくれたので、まだまだ伸びしろがあるんじゃないかと思っています」

 大野HCが目指すゴールは「勝ちにこだわること。そして支えてくれる人たちにどう喜んでもらうか」という2点。それは千葉J時代から変わらない信条だ。

「スポーツなので、すべての試合を勝つことはできない。じゃあ、負けた試合でもどうやって喜んでもらえるのか。好きで始めたスポーツで、それを仕事にして、人に喜んでもらえる。こんな素晴らしい仕事はないんだよと、シーズンの初めから伝えてきているので、選手たちもそういう意識を持って取り組んでくれているんじゃないかと思います」

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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