高校3連覇から8年後に辿り着いた世界陸上 100m障害・福部真子「準決勝でもう一度…」
オレゴン世界陸上が23日(日本時間24日)、米オレゴン州ユージンのヘイワード・フィールドで第9日が行われた。女子100メートル障害予選では、初出場の福部真子(日本建設工業)が12秒96(追い風0.5メートル)の5組4着(全体15番手)、青木益未(七十七銀行)が13秒12(向かい風0.4メートル)の6組5着(全体22番手)。日本初となる同一大会2人の準決勝進出を果たした。
オレゴン世界陸上
オレゴン世界陸上が23日(日本時間24日)、米オレゴン州ユージンのヘイワード・フィールドで第9日が行われた。女子100メートル障害予選では、初出場の福部真子(日本建設工業)が12秒96(追い風0.5メートル)の5組4着(全体15番手)、青木益未(七十七銀行)が13秒12(向かい風0.4メートル)の6組5着(全体22番手)。日本初となる同一大会2人の準決勝進出を果たした。
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福部が耐えた。メンバー紹介を受けると、笑みを浮かべた。右手を振ってスタンドへお辞儀。落ち着いていた。ピストル音が鳴り響く。序盤は体が浮き気味だったが、中盤に抑える走り。加速に入った。抜き足をハードルに当ててややバランスを崩したものの、3着に0秒02差の4着。世陸日本人初となる12秒台をマークした。
「緊張は全くなく、いつも通り楽しくいけました。10年前の世界ジュニアを経験させてもらっているので、懐かしい気持ちでした」
広島皆実高時代にインターハイ3連覇を達成したが、日体大進学以降は伸び悩んだ。「肩書きとして『インターハイ3連覇の福部真子』とずっと言われる。それ以上の結果をあまり見てもらえない部分で凄く苦しかった」。大学3年まで自己ベストを更新できず、卒業後は環境を変えながら試行錯誤。26歳にして今年6月の日本選手権で初優勝を飾った。
「天才、天才と言っていただいてきたけど、それが凄く恥ずかしい時期もあった。でも、こうやって一歩、一歩前に進んで、苦しい時でも『次はどうしようか』とずっと考え続けてきた。たくさんのサポートの中で勝てた」
涙を流した日本選手権から2週間。布勢スプリント予選で自身初の12秒台となる日本歴代3位の自己ベスト12秒93をマーク。滑り込みで初の世界陸上代表に選ばれた。この日は10年ぶりの世界の舞台に「あの時は世代の試合だったけど、トップの中のトップがいる雰囲気。鼓舞されました」と喜び。ウォーミングアップの時に世界の選手をチェックした。
「ハードリングの速い選手は12秒3~5台。ハードリングのキレが違う。12秒6~8台の選手はハードリングが上手いというよりスプリントがめちゃくちゃ速い。今の自分に足りないのはスプリント。私ももう少しスプリントが乗って来れば、12秒6くらいまではなんとか出せるかもしれない。何年かかるかわからないけど、難しい話じゃないのかなと思う」
最低目標としていた準決勝進出を決めた。決勝進出なら日本人初。「悔しさがある。準決勝でもう一回挑めるので頑張りたい。決勝ラインが12秒6くらいになる。もちろん目指したい部分もあるけど、まずはパリ五輪に向けての位置づけにしているので、目指す中で12秒8台から7台でいければもう万々歳だと思います」と大一番を見据えた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)