「みんながエゴを捨てた」 FE名古屋、B2優勝に凝縮された“リーグ最強”の信頼関係
今季の集大成を見せつけたラストゲーム
しかし、64-69で敗れた決勝第2戦は、仙台のハードなディフェンスに冷静さを奪われ、少し「自我」が顔を出してしまった。
「『自分が、自分が』になってしまっていたのが良くなかった。勝ちたいことと自分がやりたいのは別の話で、仙台さんのディフェンスに対して自分たちが崩れてしまった。コート内でもっとコミュニケーションを取らなければいけなかった」と石川は悔やんだ。
それでも、翌日すぐに立て直せたのは、レギュラーシーズンを通して積み上げてきたチームのベースと信頼関係があったからだ。勝利のために、個々の選手がゲームプランを遂行するための役割を全うする。40分間、泥臭いディフェンスでハードワークし続ける。1シーズン貫いてきたFE名古屋のバスケが、ラストゲームに凝縮されていた。
「お互いにディフェンスのチームなので、ディフェンスで我慢した上でオフェンスの遂行力を上げなければいけない。お互いにハードにやり尽くしたなかで、僕らが最後まで耐え切れた。どんなに点数が離れようが、ディフェンスを最後まで集中してやり切れたことに尽きる」と、石川は第3戦の勝因を分析した。
取材を終えて会見場を後にする石川が、入れ違いで入ってきた宮崎に、「宮さん、泣かないでよ」と声をかける。チームワークの良さが垣間見えた。
チームの成長に欠かせない存在として、HCや選手からたびたび名前が挙がったキャプテンの宮崎は、「昨日の敗戦を受けて、自分たちのバスケットをディフェンスから徹底してやろうと臨んだ試合で、それが試合の出だしから実行できたことがいい結果になった。個の力で解決するのではなくて、苦しい時にこそチームが一つになってやっていこうと、今シーズンの最初の練習から言い続けてきた。チーム一丸となって、チームとしてやるべきことを1人ひとりが実行できた」と振り返り、16シーズンずっと追い続けてきた「トップリーグ昇格」のシーズンを優勝という形で締め括れたことを誇りに思うと、嬉し涙ではなく晴れやかな笑顔で語った。