「みんながエゴを捨てた」 FE名古屋、B2優勝に凝縮された“リーグ最強”の信頼関係
「B2優勝・B1昇格」。ファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)が、新たな歴史の扉を開いた。
プレーオフ決勝で仙台89ERSに2勝1敗、“B2王者”として来季B1リーグへ参戦
「B2優勝・B1昇格」。ファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)が、新たな歴史の扉を開いた。
5月20日から3日間にわたって行われたB2プレーオフ決勝は、リーグ最少となる平均70.0失点のFE名古屋対70.3失点で2位の仙台89ERS、堅守を基盤とするチーム同士の対戦となった。
第1戦はFE名古屋が81-73で先勝。第2戦はディフェンスゲームの末に仙台89ERSに64-69で敗れ、1勝1敗で迎えた第3戦。「僕たちがディフェンスでは1位だというところを見せられるように修正したい」という川辺泰三ヘッドコーチ(HC)の言葉通り、FE名古屋は仙台89ERSを44得点に抑え込み、75-44の快勝でB2初優勝を飾った。来季は“B2王者”の称号を手に、いよいよB1の舞台へ乗り込む。
今季のFE名古屋は、得点王・アンドリュー・ランダル、アシスト王・石川海斗、3ポイント王・相馬卓弥と昨季のB2個人タイトルホルダーを次々と獲得。さらに帰化選手でトム・ホーバスHC率いる新生日本代表に招集されたエヴァンス ルーク、B1の名古屋ダイヤモンドドルフィンズから笹山貴哉ら実力者が加入し、“B2最強”と言える布陣を整えた。
だが能力の高い選手を集めれば、強いチームができるわけではない。主役級の選手をチームとして機能させるために、「正直、何度もぶつかった」と川辺HCは明かす。
「『スタメンでプレーしたい』という選手たちに、『ロールプレーヤーとしてチームに貢献してほしい』と理解してもらうようにコミュニケーションを図ってきた。葛藤や我慢があるなかで、ここにきて選手全員がパフォーマンスを上げてきているのは、彼らが成長できたところ。宮(宮崎恭行)や鹿野(洵生)とかがベンチの中や練習中にもめちゃくちゃリーダーシップを出してやってくれているし、チームとして支え合っているのを感じる」
B1でのプレー経験が豊富な笹山も、葛藤を経てチームが強くなってきたと誇らしげに語る。
「最初は、みんなどこかで自分が主役になりたいというところが出ていた。特に負けた試合では悪い部分が出てきてしまったなかで、宮崎選手などベテラン選手を中心に話し合いを繰り返してきた。みんながエゴを捨てたことによってチームがまとまったし、リーダーズの1位に誰も入っていないことが今季の僕たちの強さを表していると思う。選手それぞれの強みと弱み、任せるところと任されるところ、その駆け引きがすごく上手くなった」