20歳西郷真央、待っていた「我慢」のご褒美 歴史的10戦5勝、そして世界初挑戦へ
復活の裏に師匠ジャンボの助言、今後待ち受けるのは世界初挑戦
16番パー5。グリーン左のバンカーから第3打がカップイン。瞬間、西郷は右手を突き上げた。キャディーとグータッチをし、カップからボールを手に取るとギャラリーに向けて両手を挙げた。
「ピンまで25ヤードでした。半分キャリーさせて、寄せるノーマルのバンカーショットです。その前に(11番で)バンカーショットをしていたので今日の砂質は分かっていましたし、ライも良かった。打ちやすい状況でしたが、まさか入るとは思わなかったので、ビックリしました」
3週前、同じ地元千葉県の開催だったパナソニックオープンレディースでは、15番パー4の第2打をカップインさせた。その光景を彷彿させる劇的な展開に、ギャラリーも大興奮。最終18番パー5でもバーディーを奪い、勝利に花を添えた西郷は言った。
「辛い時もたくさんのギャラリーの方々に『これからだ』『地元で頑張れ』と言っていただきました。結果を出せてうれしいです。ありがとうございました」
そして、会見では師匠・尾崎将司への感謝も口にした。直近2週間は突然の不調で連続予選落ち。携帯電話にため込んだスイング動画とその当時に感じた「スイングメモ」を5年分見返したが、「初めて感じたテークバックからトップへの違和感」は解消できなかった。だが、尾崎宅を訪ね、アドバイスを受けて一気に目の前が開けたという。
「本当にジャンボさんに教えていただいたおかげで優勝できました。『ありがとうございました。これから頑張ります』と報告に行きたいです。ただ、優勝したから解決ではないので、また教わったことを繰り返します。そして、これからは自分でも修正できるようにしたいです」
蘇った西郷は今後、世界への初挑戦を始める。近く渡米して、全米女子オープン(6月2~5日)に出場。中2週で開催の全米女子プロ選手権にも出場する。「スケジュールは検討中」と言うが、新型コロナウイルス感染防止対策の隔離義務も考慮し、長期米国滞在を選択する可能性もある。だが、西郷は「将来は米女子ツアーで」と公言しており、この挑戦に目を輝かせている。
「世界トップレベルの舞台に自分が立てる喜びはあります。ただ、学びに行くだけではもったいない。結果として残せるようにしたいです。メジャーに向けて、体も整えていきます」
同期の笹生優花は、昨年の全米女子オープンに優勝している。渋野日向子は19年に海外試合初挑戦で全英女子オープンを制している。今、国内女子ツアーで最も強い20歳も、自分の全てを懸けて頂点を目指す。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)