「史上最強」の昇格組で躍動 バスケB2の昨季MVP、勝負どころで光った1on1の強さ
過渡期にあるチームが初のB1で残した立派な戦績
さらに終盤の大活躍について尋ねると、ジョーンズは自らの活躍を誇るのではなく、淡々と試合の状況を説明していた。
「試合の終盤は(リードを奪って)できるだけ時間を使ってから攻める狙いがあって、(1対1の)アタックが増えました。あとファウルを取れていて、ボーナス(のフリースロー)ももらえる状況になっていました。アグレッシブにアタックすることでファウルをもらえるし、でもディフェンスはファウルしたくないから、いいシュートが打てるようになっていました」
群馬がリードし、相手のファウル数が即フリースローになる「5」を超えている状況下で、ジョーンズの1on1は生きる。相手から見れば、激しく行けばフリースローから高確率で得点されるし、行かなければやはり確率のいいレイアップやフックを打たれる。ジョーンズに人数を割けば、フリーマンから3ポイントシュートが飛んでくる――。彼の存在が、横浜のディフェンスに強烈な“ジレンマ”を創り出していた。
ジョーンズを筆頭に強力な外国人選手がいて、大ベテランの帰化選手マイケル・パーカーがいて、今季は日本代表候補のアキ・チェンバースも加わった。これだけの人材が揃ったことも、群馬が健闘している背景だ。
ただコーチングスタッフの入れ替わりは、チーム作りにおいてかなり大きな障害だったはずだ。「英語ネイティブ」の選手が主力を占めることによるコミュニケーションの難しさを口にする選手もいた。そもそもB1とB2は極めて実力差が大きいカテゴリーだ。
そんな過渡期にあるチームが、コロナや相次ぐ負傷のようなトラブルもあったなかで、ここまで21勝28敗の戦績を残している。選手たちやファンには「もっとできた」という感覚があるかもしれないが、“B1リーグ1年生”としては立派な戦績だ。
太田市運動公園市民体育館の隣では、2023年春に開業する新アリーナ(OTA ARENA)の建設が進んでいる。これからも続くクラブの歴史のなかで、2021-22シーズンは大切で誇らしい“1歩目”となりそうだ。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)