B2で首位独走、FE名古屋の強さとは? 10日間の隔離生活も…難敵を“26点差”で一蹴
今季のFE名古屋は特定の選手が無理をする必要がない
FE名古屋の編成を開幕前に見て、気になっていたポイントが攻撃時の“ボールシェア”だった。例えばランダルや石川は「自分でズレを作って自分で決める」能力を持ち、ボールをかなり長く持ち続けるタイプ。しかし今のFE名古屋はそんな異能の持ち味を損なわず、それでいてボールをスムーズに動かす、シェアするオフェンスを実現できている。
川辺HCは振り返る。
「ランダルとはむちゃくちゃ喋りました。ただ彼もボールをシェアして、全員で戦いたいと言っていたし、そういうバスケットがいいことも分かっていた。システム理解度が上がってきて、ボールシェアと攻め時を理解してもらえています」
石川は説明する。
「周りから見たら今まで『石川はずっとボールを持っている』『ランダルがずっと攻めている』と思われていたかもしれません。でも『そうしなければいけない』というのがあって、そうやっていました。僕が攻めることもできるけれど、まずは味方を活かすことが重要だと思っています。スクーティー(ランダル)はもちろん攻められるし、相馬卓弥という3ポイントのスペシャリストもいる。他にもいい選手はたくさんいます」
今季のFE名古屋はズレを作る、守備を外に拡げられる“個”が揃っているため、特定の選手が無理をする必要がない。つまり強引なオフェンスをする必要がない。
相手側から見ると、守備の狙いを絞れず、ボールに食いつかざるを得ない。だからFE名古屋がいいフロアバランスで、ボールを滞りなく動かせば自然とズレは生まれる。そしてすでに空いた状態なら、どの選手も楽なシュートを放てる。
FE名古屋は23日の第2戦も74-69で制して仙台に連勝し、現在26勝4敗。能力のある人材が噛み合った結果が、この圧倒的な戦績だ。B1昇格はアリーナ、ライセンスの問題解消という別の要素が絡んでくるが、間違いなく彼らはB2制覇の最短距離にいる。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)