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日本の女子ゴルフ界が遅れている託児所問題 「出産に躊躇している選手もいる」現実【THE ANSWER Best of 2021】

2児のママとなり、託児所の必要性を感じるようになった【写真:本人提供】
2児のママとなり、託児所の必要性を感じるようになった【写真:本人提供】

北田が「自分に子どもができたからこそ思うこと」とは

 自身は18年2月、36歳で第1子の長女を出産。19年4月には1年10か月ぶりに1試合だけツアー出場を果たした。出産前は復帰後に「自分がプロゴルファーとしてどこまでチャレンジできるかな」と継続的な出場も頭の片隅にあったが、「現役中の体に近づける気力が持てませんでした」と壁に直面。出場は1試合に留まり、20年2月に第2子長男を出産した。

 託児所の設置など、ツアー会場の環境改善を願うのは「自分に子どもができたからこそ思うこと」だという。

「子どもがいなかったら、まず思わなかったでしょうね。『別に必要なくない?』と思うのもわかります。私個人の考えですが、(出産経験のない人に)託児所の必要性を理解してもらうのは本当に難しいでしょうね。

 でも、私はそれ(託児所設置)をスポンサーに丸投げするのは反対なんです。これからの選手が働きやすい環境を作るために、女子プロの中で話し合って声を上げたほうがいい。選手の年会費から払ってもいいですよね。もちろん、否定的な選手もいるかもしれない。でも、できることなら協会、選手から動き出すべき。ダメなら何がダメなのか、選手から聞くべきです」

 一般社会に比べ、ゴルフ界は「遅れていますよね」と語る。理想は出産後も仕事を続けられる環境。ママゴルファーが「当たり前」になれば、女子ゴルフの価値を高めることにもなるだろう。北田は未来のツアーへの想いを明かした。

「昔は結婚しているゴルファーも少なかったので、出産したママゴルファーも少なかった。これからの時代、出産後に復帰できるツアーというのも魅力的。女子プロゴルフの世界もそういう時代になっていってもらいたいなと思います。ゴルフもやりたい、結婚もしたい、子どももほしい。全て望んでいる選手には叶えてもらいたい。そのためにも環境作りに向けて、長い目で見て、そろそろ動き出してもいいと思います」

 1998年度生まれ、今年で23歳の「黄金世代」と呼ばれる学年が中心となって、今の女子ツアーを盛り上げている。若い選手ほど、世界を目指す選手ほど、先のことより目の前の一打に全身全霊だろう。

 でも、もし将来的に子どもを持ちたいと思うなら、ほんの少しだけ未来に目を向けて動いてみてはどうだろうか。

■北田瑠衣/THE ANSWERスペシャリスト

 1981年12月25日生まれ、福岡市出身。10歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高時代にナショナルチーム入り。2002年プロテストで一発合格し、03年にプロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年には宮里藍さんとペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)


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