7人制が5人で海外遠征へ「空港ではじめましてと…」 15人制熱狂の裏で古株が語る現状
大会出発前の空港で「はじめまして」、大会や合宿ごとにメンバーが異なる
「愛知の家にたどり着くまでに『あ、オリンピック見ました』って声をかけてくれる人が一人もいなかった。メダルがあれば、もしかしたらその日は取材とかで帰れなかったかもしれない。もしくは『ラグビーでメダル獲りましたよね』って声をかけてくれたかなと思うと、4位と3位の差は非常に大きなものがあると痛感した。
その後もリオが終わって4位になったにも関わらず、セブンズの強化もなかなかうまく進まなかったことを思うと、メダルを獲っていれば大きな差があったのではないかと思います。今回、東京五輪ではなんとしてもメダルが必要。非常にハードルが高いことは理解しているんですけど、そこを破らないと今後変わらないのかなと思っています」
2018年、アジアの国際大会への出発時、空港に集まったメンバーはわずか5人だった。19年W杯に向けた15人制代表に人材が流れるなど、人手不足の状態。メンバーは大会や合宿ごとに入れ替わる。所属チームとの契約の兼ね合いなどもあり、簡単に片づけられる事情ではなかった。途中から合流して大会に出場するが、坂井は「当然勝てないですよね。そんなに甘い世界ではない」と準備不足を嘆く。そして、こう振り返る。
「実際にリオの前もこういったことが続いていて、リオの後も変わらなかった。本当につい最近までは空港に集合して『はじめまして』と挨拶して、現地に入って『セブンズっていうのはこういうものだよ。15人制とはここが違うんですよ』という話をしていた。それをなんとか落とし込んでなんとか試合をする。
帰ってきて、また次の合宿で集まったら5人くらいしかいない。また何人かがはじめましての状態で集まることが結構続いた。今はその辺りの問題がないけど、東京五輪が終わった後のことを考えると、同じようにはなってほしくない。じゃあどうしたらいいのかというと、メダルを獲ること。これが一番いい解決策なんじゃないかなと思います」
五輪が近づくにつれ、所属チームの了承を得られやすくなるなど状況は改善されていくが、4年に一度の大舞台が過ぎ去れば元に戻ってしまう。だからこそ、メダル獲得で昨秋の15人制のようなフィーバーを起こす必要があるという。坂井は理想を語った。
「今のように東京五輪が終わって、次のパリ五輪に向けて、20人前後のメンバーが毎回同じように集まって大会に行く。帰ってきた後も、大会の反省を持ったまま次の練習に取り組むことができる。同じメンバーでやることで結束力も高まりますし、みんなで競争していくことでどんどんレベルが上がっていく。そこが一番変わってほしいなと思います」