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「小学生の時、走るのが嫌だった」 日本最速ランナー・田中希実でさえも闘った緊張

陸上女子中長距離の田中希実(豊田自動織機)が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「集中力の高め方」について語った。1000メートル、1500メートル、3000メートルの3種目で日本記録を持つトップランナー。重圧と向き合い、レースだけに集中する力は結果を残すために欠かせない。レースまでの行動、緊張で悩むジュニア世代へのアドバイスなどを明かしてもらった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

田中希実が緊張で悩むジュニア世代へ送るアドバイス【写真:奥井隆史】
田中希実が緊張で悩むジュニア世代へ送るアドバイス【写真:奥井隆史】

陸上・田中希実が語る「集中力の高め方」

 陸上女子中長距離の田中希実(豊田自動織機)が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「集中力の高め方」について語った。1000メートル、1500メートル、3000メートルの3種目で日本記録を持つトップランナー。重圧と向き合い、レースだけに集中する力は結果を残すために欠かせない。レースまでの行動、緊張で悩むジュニア世代へのアドバイスなどを明かしてもらった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

【前編】3種目で日本記録保持 女子中長距離のエースが「挑戦」を続ける理由 / 陸上 田中希実さんインタビュー(GROWINGへ)

【後編】成長を支えた“書く力” 日記と陸上ノートで向き合った自分との日々 / 陸上 田中希実さんインタビュー(GROWINGへ)

 ◇ ◇ ◇

 田中の真剣な表情には抜群の集中力が宿っている。レース前後や取材中に見せる柔らかい笑顔は一変。グッと力の入った鋭い視線は前を捉え、トラックを颯爽と駆け抜けていく。

 東京五輪女子1500メートルで日本人過去最高の8位入賞。7月のオレゴン世界陸上では日本人初の3種目に挑戦した。自ら結果を追い、周囲からも求められる立場のトップアスリート。重圧の中、23歳はいかにして“スイッチ”を入れ、自分の世界をつくり上げていくのか。

「意識的に入れていかないといけない時の方が多いかなとは思います。私の場合、できるだけ早めに入れておいた方がいいですね。具体的に何をするか決めているわけではないですが、宿舎を出る1時間くらい前から出発の用意を仕上げたり、体幹トレーニングをしたりしています。何かしら腰を上げて始めた時が、少し気合いを入れ始めるタイミング。それまでは部屋でゴロゴロしています」

 レースのおおよそ3時間前に会場入りし、徐々に気持ちをつくっていく。ストレッチ、ウォーミングアップのタイミングも決めているが、「決めた時間よりちょっと遅くなっちゃうことが多い」と厳守するほどではない。何事もなければ、集中力が乱されることはないという。

 精神が研ぎ澄まされた時、どんな感覚になるのか。「緊張はしているけど、全て上手くいっているという実感を得られます」と明かし、続けた。

「運や流れもあると思いますが、しっかりレースで結果が出る時は、自分の決めた通りに物事が進んでいきます。シナリオ通りに進んでいく感覚を得られるので、全くイライラもしない。ずっと気持ちが落ち着いていて、凄くテンションが高いわけでもないです。目の前のことにいつも通り淡々と取り組める。そういう時はレースにも集中できて、運が良ければ楽しむこともできます」

 逆に集中を削がれてしまうのは、準備を想定通りに進められなかった時。ある大会では「立ち入り禁止の場所があって(ウォーミングアップが)できなくて」と新しく場所を確保するまでに20分のロスがあり、バタバタした経験も。どの大会も事前に可能な限りウォーミングアップの場所を下見するという。

「アップの場所が思った以上にガチャガチャしていたり、見られている感じがしたりする場合、集中力が削がれます。いろいろな流れがある中で自然と招集所に入っていけたらいいですが、思った以上に早くアップが終わってしまった時に、招集所の前でただボーっとしているだけで緊張感が途切れてしまうこともあります。

 今日はこうしようと決めたルーティン通りにいかなかったら、『今日はダメだ』って諦めたり、イライラしたりすることが多い。そこさえスッと入ることができれば、競技でもほとんど失敗せず上手くいくことが多いと思います」

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