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陸上長距離に励む高1の息子が疲労骨折 カルシウムだけじゃない「強い骨作り4つのコツ」

疲労骨折を予防する食事の4つのポイント

「We Nutrition Sumit」のセッションでも改めて語られましたが、現在、わかっている疲労骨折を予防するための食事のポイントは以下の4つです。

1.十分なエネルギー摂取を心掛ける
2.炭水化物を意識して摂る 
3.カルシウムの多い食品を積極的に摂る
4.ビタミンDを意識して摂る

 一般的に丈夫な骨作り=カルシウムと思い浮かべられますが、骨作りには多くの栄養素が必要です。具体的に言うと、骨形成にはたんぱく質、カルシウム、リン、マグネシウム、ビタミンD。骨の代謝にはビタミンA、C、K、そして鉄、亜鉛などが挙げられます。

 ですから「カルシウムだけ摂っていればOK」ではなく、やはり「バランスのよい食事」が基本。なかでも炭水化物やビタミンDの摂取は、高強度の運動下で骨がもろくなったり、疲労骨折を起こしたりのリスクを下げると報告されています。

 冒頭でお話ししたように、まずは日々の活動量に見合ったエネルギー量をしっかり摂ることが大事。そして、スポーツ選手、スポーツをする学生のなかには未だに「どうしても太りたくない」と炭水化物を減らす人が多いのですが、毎食、そして補食から、炭水化物もしっかり食べましょう。

 質問者さんの息子さんは、高校生男子ですので、1日に必要なエネルギーの目安量3200kcal。小食の選手がこれだけの量を食べるには、しっかり食事計画を立てないと難しいでしょう。また、「食事のなかでカルシウムを少量ずつ摂っている」とのことですが、やはり牛乳やヨーグルトといった乳製品はカルシウム、たんぱく質が豊富なうえ、体への吸収率もよいので、アスリートの骨作りには欠かせません。牛乳であれば毎日、コップ2、3杯程度は摂りましょう。補食に菓子パンを食べるとありますが、パンを選ぶのでれば、乳製品も摂れるチーズパンがおすすめです。

 また、食が細いのであれば、補食に高炭水化物のゼリー飲料を加えると、のど越しがよいので、気持ちの負担も少なく摂りやすいと思います。

 ほか、カルシウム、ビタミンDを多く含む食品は以下の通りです。

【カルシウム】牛乳、ヨーグルト、チーズ、納豆・木綿豆腐、高野豆腐などの大豆製品、小魚(丸干しマイワシ、ししゃも、ウナギのかば焼き、しらす干し、サケ中骨缶、など)、青菜(小松菜、水菜、大根の葉、など)・そのほか(ひじき、いりごま、など)

【ビタミンD】キノコ類(きくらげ、干ししいたけ、など)、魚(マイワシ、白サケ、さんま、など)

 また、合わせて、量をしっかり食べられない理由を探ることも必要です。子どもの場合、運動量が多く疲れ切って食べられないほか、睡眠不足が影響しているケースも多くみられます。

 プロ、学生を問わず、スポーツ選手は日ごろから、体重・体脂肪量の変動を気にしながら食事を摂るものの、「骨によい食事」に関しては、ケガをして初めて意識する傾向があります。しかし、骨の形成は30歳まで続くので、一生の骨の量が決まる成長期に、骨の健康を考えた食事を心がけることはとても大切です。骨は日々新陳代謝を繰り返しています。新しい骨を作る材料となる栄養素を食事から不足なく摂取することは、ケガの予防や早期回復に欠かせないことを忘れないようにしましょう。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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