子供の能力は12歳までに決まる? 成長を分ける「ゴールデンエイジ」理論とは
日本人の子供が伸ばすべきもの…「この世代でも勝ち目はある」
――大会に帯同されてみて、日本の子供たちは、そこの部分がまだまということですね。
「大会を見ていても、日本の子供たちは体が上手く使えていなかったですね。バッティングにしても、体全体で振るのではなく、手打ちなんです。足、下半身の力を使えていませんでした。宿舎で、夜に素振りしながら、仁志監督からも話があってトレーニングもしたりしていたんですけど、重心が高いとか、力を溜めるという動きが分からない、体重移動が分からないという子供がたくさんいました。そこを、こうやって体の力を蓄えるんだよとかを教えてあげていくのは大事でしょうね。
期間中には、バッティングに必要な片足に体重を乗せるというトレーニングもしましたが、片足に体重を乗せる、タメを作るとか、バランスをキープするということができなかった。ぐらぐらしちゃうんですね。それは力がないのではなく、体の使い方が分からないから。そういった基本の部分も含めて、まだまだ教えていかないといけないのかなと思います。でも、そこがまだまだ伸びる部分でもあるわけです。そこをいかに緻密に、正確にできるようになるか。
正直、アメリカの選手たちがそれをやってしまうと、相当強くなってしまいます。ただ、コツコツとやっていくことが必要です。コツコツできるというのは日本人のいいところ。そこを海外の選手たちができるかどうか。日本人の子供たちが伸ばすべきは、神経系であり、自分の体を思い通りに動かすことができるように伸ばしてあげることで、この世代でも勝ち目はあると思っています」
――その部分が向上すれば、世界と渡り合えるようになると。
「神経系のトレーニングを行って、その部分での能力が上がれば、必然的に世界一には近づくと考えています。正直なところを言えば、仁志監督も勝つこと、世界一になることを目標にはしていますが、それだけを追い求めているわけではありません。勝つためには色々な方法を尽くせば、勝つことはできますが、そこだけではないんです。そこだけで子供たちの将来にどう繋がるのか? ということを考えているので。子供たちが15歳、18歳になった時に、どうやれば活躍できるのかということも考えていました。
将来的なことを考えても、この神経系のトレーニングは必要。小学生年代でそこを発達させることにより、思い通りに体を動かすことができるようになります。そうなると吸収力も変わって、成長度も上がっていくんですね。将来の成長に、何倍もの相乗効果を生むんです。その先にはプロ野球界、侍ジャパントップチームのレベルアップにも繋がります。育成年代で身につけるべきは、パワーではなく、動きの質を高めることです」
(続く)
【了】
福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani