子供の能力は12歳までに決まる? 成長を分ける「ゴールデンエイジ」理論とは
成長のカギは神経系…「ゴールデンエイジ以降にやっても効果は高くない」
――神経系ですか。
「スキャモンの発育・発達曲線というものがありまして、これは体がどういう順に成長していくかが理論化されたものです。一番伸びる部分に対して、効果的なトレーニングでアプローチすることで、能力が著しく成長します。この理論から言うと、このゴールデンエイジでは神経系がグッと伸びます。この期間でほぼ能力の100%まで成長してしまいます。この時期に、神経系をしっかり開発してあげられるかが、大事になる。このゴールデンエイジ以降に神経系トレーニングをやっても、効果は高くありません。
例えば『こういう風にやってみろ』といって、子供にやらせてみると、全く違う動きをしてしまう子がいますよね。それは神経系がうまく伝わっていないのです。体の動きには『インプット』と『アウトプット』ということが関わってきます。目、耳、皮膚とか色々なもので感じたものが脊髄を通って、一度、脳に入ります。これが『インプット』です。頭に入って状況などを判断し、こう動かすんだというものを『アウトプット』します。それが筋肉に伝わって、運動になります。
これがうまく回路を伝わらないと、自分の思う通りに体を動かすことができないのです。言われたことをできる子とできない子の違いは、この『インプット』『アウトプット』がうまくいっているか、いっていないかという部分になります。できないのは、子供の力がないとかではありません。頭の中にイメージがないことはできないですよね」
――そこを鍛えなければ、いけないのは何故でしょう。
「神経系を発達させて合理的な動きができないと、元来、体が持っている力を十分に発揮できないんです。逆に、それを発揮できるようにしてあげれば、ある程度のパワーは出せるはずです。根本的なパワーはアメリカ人などに比べれば、どうしても落ちますが、それ以上に、パワーを発揮する体の使い方が身についていないのです。それができていれば、自然といい球を投げることが出来ますし、いいバッティング、ボールを遠くへ飛ばすこともできるようになります」