なぜスポーツで“脚はつる”のか トレーナーが教える対処法、意外な食材が補食に?
一か所ばかりがつる場合は、動作に原因がある可能性も…
しかし、ここで問題が生じます。いくら生理学的にバランスが悪い、身体的な負担が大きい場合でも、単純に「フォームを変えよう」という答えに辿りつくのは、非常にリスキー。なぜなら、生理学的には正しくなくても、特殊な動作によって勝っているケースは往々にしてあるからです。
その場合、フォームを変えることで勝てなくなる可能性も高い。フォームを変えるべきか、それともいじらず障害を防ぐ補強に徹するか。選手生命にも関わる問題のため、選手・スタッフは慎重に選択を重ねます。
2012年のロンドンオリンピック前からサポートしていた卓球の福原愛選手を例にお話ししましょう。福原選手は昔からバックハンドに定評があります。彼女の肘はバッグハンドを打つときに過剰に外反。この動作が強さを生み出す一方で、障害を起こす危険もはらんでいました。
フィジカルトレーナーはもちろん、肘が過剰に曲がらないためのトレーニングを組むことはできます。しかし、強みでもある動作を修正すれば、勝てなくなる可能性も高い。結果、肘の修正ではなく、他の動作の強化の道を選択し、福原選手は女子団体で銀メダルを獲得。その後、予定していた右肘の手術を受けるに至りました。
話は戻りますが、もしも一か所ばかりがつる場合は、動作に原因があるかもしれません。私たちフィジカルトレーナーは「なぜ、その部位に負担がかかるプレースタイルになってしまうのか」を見抜き、分析するのも仕事です。身近にトレーナーがいるのであれば、一度、見てもらうのも手です
【了】
長島恭子●文 text by Kyoko Nagashima