なぜ球児は肘を痛めるのか 「投球制限」の前に見つめ直したい原因と対処法
「疲労骨折」も状況次第では致命的な怪我に
4「疲労骨折」
ボールをリリースした後は肘関節が伸びた状態になります。このときに肘関節後方で骨同士がぶつかります。この繰り返しにより骨にストレスがかかり、疲労骨折を発症してしまいます。痛みも強くもちろん投球も出来なくなります。状況しだいでは致命的な怪我となってしまいます。
上記の傷害は初期段階で適切な対応がなされれば、その後のプレーにも大きな問題は残りません。もちろん他にも多くの傷害があります。そういった意味でも専門医による定期的な診察を受けることをお勧めします。
同時に大切なことは、傷害発症リスクを下げるために「ルール」を設定する事、つまり投球数をコントロールすることも有効な手段だと思います。
もちろん「投球制限」だけではなく、日頃の基礎トレーニングも大切なポイントになります。
トレーニングは肘関節、肩関節はもちろんですが、体幹など身体全体の基本的なエクササイズが必要です。また、肩甲骨と股関節の機能も重要です。
簡単な指標として、肩甲骨は、両腕を伸ばして親指を上に向けバンザイの姿勢で“ゆっくり”一番上まで上げてください。左右それぞれの耳から肘の距離を確認してください。左右差で投球側の肘が耳から離れているようなら、肩甲骨の動きに問題がありそうです。肘が真っ直ぐ伸ばせない場合は専門医の受診が必要です。
股関節は、うつ伏せで両膝を90度曲げた姿勢をとります。ここから足を身体の外側(両足が離れる)に倒してください。このときに、大きく左右差があったり、ほとんど外側に傾かせることが出来ないと股関節の可動性に問題がありそうです。
こうした機能低下も投球時に肘関節に大きなストレスが加わる事になります。予防の意味でもセルフチェックしてみてください。
(石井 雅也 / Masaya Ishii)