1300万食のCO2排出量&使い捨てプラスチック半減 パリ五輪が掲げる6つの「フード・ビジョン」とは
Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「パリ五輪が掲げる6つのフード・ビジョン」について。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載 今回は「パリ五輪が掲げる6つのフード・ビジョン」
Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「パリ五輪が掲げる6つのフード・ビジョン」について。
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来年はパリ五輪開催の年です。五輪はスポーツ栄養にとっても一つのランドマークとなる大会。今回はパリ五輪が掲げる「フード・ビジョン(食の方針)」についてお話します。
「フード・ビジョン」は2012年のロンドン大会から組織委員会によって策定。ロンドン大会では食の側面からいかに持続可能性を実現できるかを、東京五輪ではロンドン大会をベースに、食品の安全衛生、選手の栄養管理、環境への配慮、多様性と調和、そして日本の食文化の発信やもてなしの提供を目標に掲げていました。
そして、パリ五輪及びパラリンピックでは、「すべての人が環境や社会に対する責任を果たしながらも、美味しく食べることを目指す」という考えの下、6つのコミットメントを掲げています。
6つのコミットメントは以下の通り。
<1>4週間の大会期間中に、提供される1300万食(観客用のスナック、スタッフとボランティア用、競技者用、メディア用、ホスピタリティ用、オリンピック・パラリンピックコミュニティ用の食事を含む)の平均二酸化炭素排出量を半減させる。
<2>使い捨てプラスチックを半減させる
<3>すべての食材はサステナビリティ認証食材にする
<4>消費されなかった資源を100%回収する
<5>すべてのケータリング設備を再利用する
<6>ケータリングの仕事の10%(選手村では15%)は、障がい者や恵まれない背景を持つ人々の雇用を確保する
<1>~<3>のコミットメントついて少し補足すると、<1>では動物性のタンパク質を減らし、野菜や果物を倍増すること。食品廃棄を減らし、余剰分の食事は寄付、堆肥化、再生可能なガスの生産につなげることをあげています。
<2>については大会パートナーのコカ・コーラ社によって全会場に700の水飲み場とソーダ水飲み場を設置すること。また、すべてのプラスチックは回収・リサイクルされ、テイクアウトの飲料にはリサイクル可能なガラス瓶を利用することなどが発表されています。
<3>に関しては食材の8割は国内で生産された旬のものにし、内25%の食材はそれぞれの試合会場から250キロ以内で調達した物を使用。そして輸入製品を使う場合は、最高の環境基準に従ったものを使用し、3割はオーガニックの食材にする、という内容です。