世界の最先端サッカー栄養トレンドに変化 3人の識者は「120分を視野に入れた準備を」
Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「世界の最先端サッカー栄養トレンド」について。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載 今回は「世界の最先端サッカー栄養トレンド」
Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「世界の最先端サッカー栄養トレンド」について。
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スポーツ栄養学の最新の研究成果を発信するウェブサイト「mysportscience(マイ・スポーツサイエンス)」。運動生理学の権威、イギリス・ラルバラー大学のアスカー・ユーケンドルップ教授が運営するこのサイトでは、世界のスポーツ栄養の専門家によるウェビナーが開催されています。
今年の1月には「サッカーにおける栄養」をテーマに開催。3名の専門家による発表とディスカッションが行われました。
登壇者は、アーセナルフットボールクラブの研究開発責任者、FIFA科学諮問員会のメンバーであるアラン・マッコール氏、運動生理学が専門でフェロー諸島大学のマグニ・モーア教授、そして、元サッカー女子デンマーク代表フィットネスコーチである、南デンマーク大学のペーター・クラストルプ教授の3名。いずれも、サッカーの研究分野や実践現場のエキスパートです。
また、マッコール博士とユーケンドルップ教授は、UEFA(欧州サッカー連盟)が2020年に発表した、エリート(プロ)サッカー選手の栄養に関するUEFA専門家グループの合意声明 (UEFA expert group statement on nutrition in elite football)の策定メンバーでもあります。
この合同声明については以前、当連載でも取り上げましたが(https://the-ans.jp/food/151654/)、主に18歳以上のプロ選手を対象とした、食事と栄養の考え方・摂り方をまとめたもの。内容は、試合やトレーニング時、ストレスの多い環境下における栄養補給、レフリーの栄養補給に至るまで、大きく9つの柱に分けられています。
この声明で特に新しさを感じたのは、サッカー選手に適した糖質量を試合やトレーニング時に分けて明確に示していた点です。今回のウェビナーでも、「サッカーにおけるグリコーゲンの役割」についてのディスカッションが行われました。
サッカーのように高強度の間欠的運動を行う場合、パフォーマンスの向上のため、試合前・試合中の筋グリコーゲンレベルを高い状態に保つことが重要であることはよく知られています。試合中、体内の筋グリコーゲン量が著しく低下すると、試合後半の運動量やシュート数が減少する、間欠的運動パフォーマンスやスプリントの頻度が低下するなど、プレーに悪影響を及ぼすためです。