今、世界のアスリートに広がる植物性食品 栄養面から考えるメリット&デメリットとは
自然と多くなる炭水化物の量、一方のデメリットは…
植物性の食事にすると、まず炭水化物の量が自然と多くなります。そのため、摂る食品次第で、持久性スポーツに必要なエネルギーは十分、摂取できると考えられます。また、野菜や果物からはビタミンやミネラルといった栄養素、そして抗酸化物質が豊富に摂れ、上気道感染症のリスクが高いことされる持久性アスリートにとってメリットになるのではと考えられています。プラントベースドの食事を実践すると「何となく調子がよい」という実感を得られるアスリートがいる理由は、そのためではないかともいわれています。
一方、デメリットについてですが、1つは食物繊維が多いことが挙げられます。食物繊維の多い食事は、肉や魚などに比べてエネルギーが少ないだけでなく、良く噛むことにより満腹感が得られるうえ、食後の満腹感を長引かせることも報告されています。多くの場合、プラントベースドの食事では、食物繊維が豊富な精製されていない米やパン、パスタの他、野菜や果物、豆類を中心に食べます。そのため、空腹感を得られにくいことで競技者として十分なエネルギー量を摂取できない恐れがあります。
2つ目は、不足しやすい栄養素が多い点です。特に魚などに含まれる良質な油、オメガ3系の油や、血液や骨、免疫などに関わる鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB12は、かなり意識をしないと必要量が摂れないというデータがあります。
以上のことから、アスリートがプラントベースド食を実践する場合、肉や魚、卵、牛乳・乳製品の代わりに食べる食品や食事量をしっかり考え、コントロールしないと、栄養不足に陥りやすい恐れがあります。ですから、動物性食品を一気に断つのではなく、例えば週1、2回、メインのおかずを肉ではなく、大豆製品や大豆ミートの料理にするなど、コンディションをみながら少しずつ摂り入れていくというのはいかがでしょうか。この際、先に上げた2つのデメリットを意識しながら、食材や量をコントロールすることも必要です。