「勝つために食べる」だけじゃない 「脱・勝利至上主義」目指す米スポーツ組織の教育
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「『True Sport』セミナーをレポート」。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「『True Sport』セミナーをレポート」
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「『True Sport』セミナーをレポート」。
◇ ◇ ◇
以前、この連載で取り上げた、アメリカのアンチドーピング機構が運営する組織「True Sport」。勝利至上主義から脱し、子どもたちにとって、よりよいスポーツ環境を目指すこの組織では、昨年、スポーツをする子どもと保護者、そして指導者を対象としたオンラインセミナーを開催。コンディショニング、スポーツ栄養、メンタルヘルスなどの講義が行われました。
今回は、「True Sport」で栄養教育を行っているスポーツ栄養士(Kristen Ziesmer)のセミナーより、アメリカの育成年代の子どもたちに向けた栄養バランスのガイドラインについてお話ししましょう。
アメリカではバランスの取れた食生活を実践に移すために、1回の食事で摂る食品とそのおよその量(割合)を一枚の大きな皿に示すイラストをよく使用します(日本では、厚生労働省と農林水産省が共同で作成したコマを使ったイラストが使われています)。栄養素をシンプルに可視化することで、日々、「何を」「どのぐらい」食べればよいのかが一目でわかる、というわけです。
「True Sport」のセミナーでもこちらを使って、運動量の変化に対応した栄養バランスをレクチャー。具体的には、以下の通りです。
【中強度の運動を行う日(練習日)】
通常の練習日は、大皿の1/4は脂質が少なくたんぱく質の豊富な食品。残り3/4の内半分は全粒穀物(主食)、半分は野菜と果物。さらに補食として新鮮な果物を摂る。
【試合日】
試合日などハードに運動をする日は、大皿の半分(1/2)を穀物(主食)にする。1/4が新鮮な野菜と果物、残りの1/4は脂質が少なくたんぱく質の豊富な食品。さらに補食で新鮮な果物を摂る。
【オフ・軽い練習の日】
運動をしない日や軽く体を動かす程度の日は、大皿の半分(1/2)を新鮮な野菜と果物に。1/4が全粒穀物(主食)、残りの1/4は脂質が少なくたんぱく質の豊富な食品にする。
実はこの大皿を使ったイラストは、外国人コーチ陣や選手たちの間でも分かりやすいと好評。私がサポートしているトップリーグのロッカールームにも、ポスターが貼られています。