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25mで12秒短縮も 元五輪スイマーが動画で挑戦する“新しい水泳指導”のカタチ

元競泳の北京、ロンドン五輪代表・伊藤華英さんが22日、岩手・大船渡で行われた「東北『夢』応援プログラム」に出演。動画を利用し、10か月間にわたる遠隔水泳指導の中間発表が行われ、25メートルのタイム測定で12秒縮める児童もいるなど、早くも大きな成長ぶりを示した。

「東北『夢』応援プログラムに出演した伊藤華英さん【写真:編集部】
「東北『夢』応援プログラムに出演した伊藤華英さん【写真:編集部】

伊藤華英さんが「東北『夢』応援プログラム」中間発表イベントに出演

 元競泳の北京、ロンドン五輪代表・伊藤華英さんが22日、岩手・大船渡で行われた「東北『夢』応援プログラム」に出演。動画を利用し、10か月間にわたる遠隔水泳指導の中間発表が行われ、25メートルのタイム測定で12秒縮める児童もいるなど、早くも大きな成長ぶりを示した。

 動画で距離を超え、成長につなぐ。異色の水泳指導が実を結んでいる。五輪に2度出場した伊藤さんが協力するのは、公財「東日本大震災復興支援財団」が行う「東北『夢』応援プログラム」。離れた被災地の子供たちと直に接することができなくても、遠隔指導ツール「スマートコーチ」を利用し、1対1の個別指導を実施。子供たちが泳ぐ指導の動画を送ってもらい、伊藤さんが動画にアドバイスをつけ、返信する。そうして子供たちが設定した目標に少しでも近づける、という画期的なコンセプトの企画だった。

 この日は指導の初回となった6月の「夢宣言イベント」以来となる直接指導を行い、実際に成長を確認する「中間発表イベント」。遠隔指導に参加した小2から高1まで11人と5か月ぶりに再会した。「毎月、ちょっとずつ良くなっています。今日また泳ぎを確認してアドバイスをもらい、今後に自信を持てるようにしましょう」との伊藤さんの挨拶で、水泳クリニックから始まった。

 伊藤さんが最も大事にするのは「けのび」の姿勢。綺麗なストリームラインを作って前方への推進力を得られるように「頭を(水中に)しっかり入れて」など1人1人の泳ぎを見ながら助言した。さらに、実際に25メートルずつで4泳法を泳ぐ個人メドレーも披露。元オリンピアンの迫力のある泳ぎに子供たちも目を奪われた様子で、水中に潜るなどしながら食い入るように観察した。

イベントでは、早くも子供たちの大きな成長ぶりが見られた【写真:編集部】
イベントでは、早くも子供たちの大きな成長ぶりが見られた【写真:編集部】

子供たちに贈ったエール「“できること”を増やしていきましょう」

 そして、1時間半の指導の後に行われたのは、今回のメインイベントは中間発表。設定された距離を泳ぎ、それぞれが取り組んでいる泳法でタイムを測る。この時、普通の水泳指導と違うことはプールサイドでスタッフ2人が泳ぐ子供と並んで歩き、水上と水中から、それぞれ泳ぎを動画撮影したこと。これが、指導の重要なポイントになるのだ。全員が終えると会議室に場所を移した。

 伊藤さんとともに1人ずつ映像を確認。「いつも言ってきた手のかきがだいぶ良くなった」「まだ左呼吸の時に手が下がりやすい」「もっと強くキックしたらスムーズに泳げるようになる」と成長した点、改善したい点について、それぞれアドバイスを送る。実際に映像で見るからこそ、子供たちも助言に理解を深めやすく、1人1人が納得しながら今後の成長へ向け、教訓にしていた。

 5か月前は25メートルを泳ぎ切るのがやっとだったが、力強い泳ぎでタイムも12秒も縮める児童もいるなど、大きな成長を披露。今後は動画を通じて指導を受けながら来年3月に行われる「成果発表イベント」で10か月の集大成の機会が再びやってくる。

「みんな、普段から動画を見て一生懸命にやってくれていることがわかりました。“できないこと”はいっぱいあるけど、“できること”を増やしていけるようにやっていきましょう。一番大事なことは一生懸命にやること。水泳でつけた自信をプール以外の場で、いろんなチャレンジにつなげていってください」

 伊藤さんは最後にこう語りかけ、半年後にさらに大きくなった姿で再会できることを願った。指導3年目になる伊藤さんは街の復興とともに、参加する子供たちの成長も毎年感じている。動画がつなぐ“新しい水泳指導”の形で、東北を活気づけていく。

(THE ANSWER編集部)

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