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夢応援マイスターの菊谷崇氏と天野寿紀が石巻工業高校ラグビー部と交流

目標の花園出場まで、あと2勝と迫った宮城・石巻工業高校ラグビー部に16日、この上ないアドバイスとエールの声が届いた。気温10度に迫ろうかという寒さが堪える放課後のグラウンドで、22日に行われる「第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会宮城県予選」準決勝の佐沼高校戦に向けて練習に励む選手たちと一緒に、所狭しとグラウンドを駆けるのは、ラグビー元日本代表主将の菊谷崇氏だ。

石巻工業高校ラグビー部に訪問し、練習に参加した菊谷崇氏
石巻工業高校ラグビー部に訪問し、練習に参加した菊谷崇氏

「一番大事なのはいい準備をすること」 石巻工業ラグビー部に憧れの人が送った金言

 目標の花園出場まで、あと2勝と迫った宮城・石巻工業高校ラグビー部に16日、この上ないアドバイスとエールの声が届いた。気温10度に迫ろうかという寒さが堪える放課後のグラウンドで、22日に行われる「第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会宮城県予選」準決勝の佐沼高校戦に向けて練習に励む選手たちと一緒に、所狭しとグラウンドを駆けるのは、ラグビー元日本代表主将の菊谷崇氏だ。

 公益財団法人東日本大震災復興支援財団が立ち上げた「東北『夢』応援プログラム」の第5期がスタートするにあたり、夢応援マイスターを務める菊谷氏が同校を訪問。同じく夢応援マイスターを務めるトップリーグ・キヤノンイーグルスの天野寿紀はオンライン会議システム「Zoom」を通じて、熱いエールを送った。

 菊谷氏は現役だった2016年、キヤノンイーグルスの代表として「東北『夢』応援プログラム」に賛同したことをきっかけに、石巻工業ラグビー部と出会った。翌年からは天野も加わり、以来、定期的に石巻まで足を運んで選手たちの成長をサポート。現地を訪問できない期間は、遠隔指導ツールを活用し、交流を保ってきた。

 これまで菊谷氏と天野が石巻を訪れ、実際に指導する際は、2人が考えたメニューに沿って練習を進め、選手たちとのディスカッションを交えながら、考えてプレーする習慣が身につくように促してきた。だが、この日は6日後に決戦が控える重要な時期ということもあり、「今日は普段やっている練習に加わって、今必要なアドバイスができたらと思います」と菊谷氏。準々決勝の仙台第三高校との試合映像を見たと言い、「みんなが戦う準備ができている様子が伝わってきた」と声を掛けた。

菊谷氏は練習中も選手にアドバイスの言葉を送った
菊谷氏は練習中も選手にアドバイスの言葉を送った

石巻を訪問し、練習に加わった菊谷氏は、プレーと声掛けで選手のやる気を刺激

 3年生は今年6月、オンラインを通じて菊谷氏と天野と“対面”し、コロナ禍での目標設定についてアドバイスを受けていたが、実際にグラウンド上で顔を合わせるのは約1年ぶりのこと。再会する2、3年生はもちろん、初対面となる1年生も、菊谷氏を目の前にして嬉しい笑顔が止まらなかったが、ゲーム形式の練習が始まると、その表情は一気に真剣そのものとなった。

 始めは防寒のため、ダウンベストを着ていた菊谷氏だが、ものの10分も経つとダウンベストを脱ぎ捨て、選手に交じって楕円球を追った。レギュラー陣が集まるAチームと対するBチームに入った菊谷氏は、時折自らボールを持ってAチームの弱点を突くプレーで攻め、選手に注意喚起を促す。また、プレーが中断するとBチームのメンバーに声を掛け、直前のプレーについて簡単に意見交換をし、アドバイスの言葉を送る。その声に選手たちは真剣に耳を傾け、次のプレーに生かす努力を重ねた。

 薄暮だった空が漆黒の闇となり、ナイターの明かりが点灯。一通りの練習を終え、息を切らしながら顔を上気させた選手たちに向け、菊谷氏は「敵の強弱によって、基本のスキルを疎かにしないように」と金言を送った。

菊谷氏、天野と石巻工業ラグビー部の選手たち
菊谷氏、天野と石巻工業ラグビー部の選手たち

オンライン参加の天野は力強いアドバイスとガッツポーズでパワーを注入

 選手たちが息を整えたところで、今度は天野がオンラインで登場。準決勝まで残された時間で「自分たちのやることは明確になっていますか? 準備はできていますか?」と問いかけた。さらに、画面の中から言葉を繋いだ。

「緊張やプレッシャーがあっても、やるべきことが明確になっていれば乗り越えられる。相手がどうこうよりも、一番大事なことはいい準備をすること。短期間でめちゃくちゃ上手になることは無理でも、試合時間の22日13時に向けて、ちゃんと寝て食事を取って体調を整えるなど、いいパフォーマンスに繋がる準備はできる。花園に行くという強い気持ちを持って頑張ってください」

 そう伝えると、ノースリーブでガッツポーズを決める天野の姿に、選手たちは大きな笑い声をあげると同時に、準決勝突破に必要なパワーを注入されたようだった。

 最後に、菊谷氏が選手に向けて「3年生にとっては最後の大会。人生何度もあることではないので、自分たちのベストが出せるように準備をしっかりするように。また、1、2年生も含めたチームとして協力して準備することも大切。これまで積み上げてきたものを、試合で伝えてください」と語りかけると、選手たちは精悍な表情を浮かべ「はい!」と力強い返事で勝利を誓った。

 目指す花園出場まで、あとわずか。菊谷氏、天野から送られたエールを胸に22日、石巻工業ラグビー部が準決勝の舞台に臨む。

(THE ANSWER編集部)

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