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マラソンで転倒、靴を踏まれ… 「コケちゃいました」五輪の歴史に残る名言は「言い訳で…」意外な真実――マラソン・谷口浩美

森下広一(左)、中山竹通(右)と健闘を誓った谷口さん【写真:産経新聞社】
森下広一(左)、中山竹通(右)と健闘を誓った谷口さん【写真:産経新聞社】

帰国して知った2つの事実

 帰国後に知ったことが2つあった。まずは、自身が転倒していたシーンが映像として日本中に流れていて「コケちゃいました」のフレーズが大きく取り上げられていたこと。「普段、町を歩いていてもすぐに気づかれましたし、なかなか生活しにくかったですね。SNSが流行っている今だったら、私は潰されています。今の時代じゃなくてよかったですよ」と振り返る。

 もう一つはレース展開だった。金メダル有力として見ていた後輩の森下は銀メダル。「森下はどこで負けたんだろうと思って映像を見たんですよ。そうしたら、私が仕掛けようと思ったところで(金メダルの)ファン・ヨンジョに離されていたんです。自分がもしそこにいたらと思ったのと同時に、自分のプランは間違っていなかったんだなと思うと、ちょっと嬉しかったですね」

 勝負の世界で“タラレバ”を言えばキリがない。骨折、入院の後に1か月で仕上げた体でも金メダルの可能性があっただけに、大会前とレース中のアクシデントがなかったら……という声は今でもある。

「でも、1か月しかなかったからそういう仕上がりだったのかもしれないですよね。練習もパーフェクトにできていたら、仕上がりすぎてダメだったかもしれない。私の場合は肉体と精神の相関関係が大事と考えていて、体がダメでも頭がしっかりしていれば、ダメな体もどこかで反応するかもしれないわけですから」

 綿密な金メダル獲得プランしかり、目的達成のために最大限の時間を割くスタイルで成功を収めてきた谷口氏。そこから培われたメンタルの強さこそが、ミスをしてもあの優しく語りかけるような「コケちゃいました」の一言につながったのかもしれない。

(続く)

(THE ANSWER編集部・瀬谷 宏 / Hiroshi Seya)


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