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「日本ラグビーに何かしろ」 そう言う前に海を渡った堀江翔太の決め事「まず自分が成長せんと」

ラスボスは最後まで存在感を発揮した。26日のラグビー・リーグワンプレーオフ決勝(東京・国立競技場)。レギュラーシーズン1位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)は同2位・東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)に20-24で敗戦。2季ぶり7度目の優勝に届かなかった。今季限りで現役を引退する元日本代表HOの38歳・堀江翔太は後半から出場。個の成長を大切にして海外挑戦し、日本ラグビーに多くの財産を残した28年間だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

26日の決勝直後、ファンの声援に応える埼玉の堀江翔太【写真:矢口亨】
26日の決勝直後、ファンの声援に応える埼玉の堀江翔太【写真:矢口亨】

引退・堀江翔太の国内最終戦

 ラスボスは最後まで存在感を発揮した。26日のラグビー・リーグワンプレーオフ決勝(東京・国立競技場)。レギュラーシーズン1位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)は同2位・東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)に20-24で敗戦。2季ぶり7度目の優勝に届かなかった。今季限りで現役を引退する元日本代表HOの38歳・堀江翔太は後半から出場。個の成長を大切にして海外挑戦し、日本ラグビーに多くの財産を残した28年間だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 思うようにいかない。一本のパスが歩んできたラグビー人生の厳しさを表した。

 4点を追った後半39分。埼玉の逆転トライに国立が沸騰した。しかし、レフェリーが取ったのはTMO(ビデオ判定)のジェスチャー。直前のプレーで堀江のパスがわずかに前へ流れていた。痛恨の反則でトライは幻に。28年のラグビー人生最後の年。レギュラーシーズンで16戦全勝しながら、無情にも敗戦を突きつけられた。

「全勝して、優勝して引退っていう漫画、ドラマみたいにいかないのが非常に僕らしい。そんなうまいこといかんなって神様に教えられたみたい」

 ノーサイド。相手主将のリーチ・マイケルと握手を交わし、駆け寄ってきた後輩のHO坂手淳史に告げた。「ナイスファイト。これからチーム、つくり直していかなあかんな」。場内を一周し、リーグ史上最多となった5万6486人の観客に挨拶。グラウンドを後にする直前、堪えていた涙が止まらなくなった。

「泣かずに出ていきたいなと思ったんですけど、めちゃくちゃお世話になった人と顔を合わせちゃうと安心した」

 小学5年で出会ったラグビー。2009年に代表初キャップを獲得し、11年からワールドカップ(W杯)に4大会連続出場した。15年イングランド大会は、“ブライトンの奇跡”と呼ばれた南アフリカ戦の歴史的金星に貢献。19年日本大会は全5試合に出場し、史上初のベスト8進出を支えた。昨年フランス大会はチーム最年長で4試合中3試合に先発。歴代6位の代表通算76キャップを誇る。

 最前線で体を張り続け、スクラムの屋台骨に。ドレッドヘアーをなびかせ、強烈な存在感が相手を恐れさせた。ついた異名は「ラスボス」

「死ぬほど嫌なプレッシャーを抱えていた」と桜のジャージを背負った一方、13年に南半球最高峰リーグ・スーパーラグビーのレベルズに挑戦。サンウルブズでは初代主将を務めた。世界で勝てなかった日本ラグビーを戦えるチームに押し上げた功労者の一人。ただ、本人は意外にも「個の成長」を大事にしていた。

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