「こんなにレベル高いのか」 憧れのスペイン移籍初日、乾貴士のサッカー観を変えた衝撃
エイバルはサッカー人生で「一番楽しい時代だった」
スペインは個々の選手の技術が高く、基本的にパスサッカーで、非常に攻撃的なのが特徴だ。だが、乾がスペインで学んだものは、バルセロナで活躍したリオネル・メッシやネイマール(ともに現パリ・サンジェルマン)に象徴されるような攻撃力ではなかった。
「個人戦術の部分とか技術的な成長もあったけど、一番自分が成長したなと思うのは守備です。明らかに守備は変わりましたね。僕は体が小さいので、1対1になったら不利ですし、いい守備をするのが難しいんですけど、スペインはゾーンで守るんです。1人ひとりの距離感を大事にしてポジショニングを考えて守備をするので、そういう戦術なら理解できるし、やれる。全員で守備に対応するというところは身についたので、守備の意識はすごく高くなりました」
日本からドイツへはもちろん、ドイツからスペインへの移籍も、言葉や環境、サッカーのスタイルが違うため、ある意味、一からの挑戦になる。だが「スペインのサッカーが好き」という気持ちが、乾のマインドをポジティブにし、スペインにおける日本人の評価を一変させる活躍を見せた。
「エイバルは、僕のサッカー人生で一番楽しい時代でした」
本当にそう言えるだけの経験ができる選手は、決して多くはない。
(佐藤 俊 / Shun Sato)