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将来フィジカルトレーナーになりたい モノをいうのは「現場力」、必要な知識・資格は?

フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏
フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏

民間の資格を取得しなくてもフィジカルトレーナーの活動は可能

 実はこれらの民間の資格を取得しなくても、フィジカルトレーナーとしての活動は可能です。ただし、大手スポーツクラブなどにフリーのトレーナーとして登録する場合、何らかの民間資格を取得していることがエントリー条件になっている場合があります。

 そのほか、プラスの状態の選手に対し、マッサージや鍼灸などを用いて疲労回復をサポートするといった、体をケアする、コンディションを整えるという仕事もあります。こちらは「はり師」「きゅう師」という国家資格に加え、民間のケアやリラクセーション療法の資格を取得する方もいます。一般的にコンディショニングトレーナーと言われる場合が多いです。

 さて、どの世界でも同じだと思いますが、トレーナーの仕事も最終的には「現場力」がモノをいいます。学生時代の学びや資格も大事ですが、現場経験を積むことで力がついてきます。ですから、大学や専門学校に通い、トレーナーの資格も取得した後、どんな現場を選ぶかも、重要です。

 私個人の意見ですが、まずは先輩トレーナーのいる環境に身を置くと、とてもよいと思います。やはり先輩がいると、様々な対応・対処の方法を見て、学ぶことができます。最初から一人でチームや個人を担当するケースもありますが、同じ競技の選手でも、一人ひとり体は違いますし、現場の経験値が浅いと、適切な方法を見つけることが大変難しくなります。

 私が主催するフィジカルトレーナー協会にも、現場で何十年と一人で仕事されている方がいますが、彼らは経歴は長くても、意外とわからない・知らないということも多いのです。

 ほか、一つの競技に特化するか、いろんな競技をみるかでも、その後、変わってきます。例えば一つの競技に集中すれば専門の競技に関しては強くなる一方で、他の競技選手に対しては知識や経験が乏しく、サポートできないといったプラス・マイナスは生じます。

 また、トレーナーを目指している多くの方が、「メダリストのトレーナーになりたい」「オリンピアンに携わりたい」と言いますが、そんな簡単にはいきません。目標を持つことは大切ですが、そこだけにこだわると、仕事を続けることが非常に難しくなります。まずは自分の好きな競技に関わろう、というぐらいの気持ちで、第一歩を踏み出しましょう。

 もっと言えば、体を強くしたり、筋肉量を増やしたりと「ゼロをプラスの状態にする」トレーニングを必要とするのは、アスリートに限りません。

 アスリートの場合は、スポーツのパフォーマンスを上げることが目的ですが、いい筋肉をつけたい、ボディメイクをしたいという外見的、美容的なプラスを求める方もたくさんいます。また、一般の方、特に高齢者をみる場合、生涯サポートする関係にもなりやすく、一人の体を一生見ていくというやりがいもあります。

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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