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母の一言が「僕の背中を押した」 15歳で越境入学、バスケ篠山竜青が語る高校選びで大切なこと

自身の致命的ミスで負けた中学最後の大会、胸に宿った小さな火種

 そして、夏。篠山が所属する横浜市立旭中学校は県中総体で準優勝という成績を挙げ、関東大会に進んだ。この大会で上位2チームに入れば全国大会に出場できる??。否が応でも高まる篠山の期待は、2回戦で潰えた。

「山梨の市川中というところに負けました。残り何十秒かで3点差。3ポイントを打てばよかったのに、僕はドライブで突っ込んでエンドラインを踏んじゃって、ターンオーバー。勝負ありでしたね」

 いつもなら総得点の半分くらい得点を取る篠山は、この日の得点を1桁台に抑え込まれていた。そこに重ねるように犯した致命的なミス。篠山はひとしきり泣いた後に、胸に小さな火種が宿っていることに気づいた。

「全国大会に行きたい。もっと上のレベルでバスケがやりたい」

 そして、その思いを母の幸子さんが焚きつけた。

「関東大会が終わってしばらくして、また進路の話をするようになった時に、『やっぱり県外じゃないの?』というようなことを言われました。JBLのチームから声がかかる人なんて関東大学1部リーグでプレーする一握りという世界だし、インターハイやウインターカップでベスト4くらいに入れるようなチームで活躍しないと、みたいな話もしましたね。次第に『じゃあどこに行くのか』。能代工業なのか、福大大濠なのかみたいな具体的な話も少しずつ出てきて、自分もちょっとずつ神奈川を出ることを考えるようになりました」

 進学先に強い希望はなく、「求められるところに行きたい」と思っていた。かつて地元のミニバスチームでコーチをしていた幸子さんがツテをたどって、県立能代工業(秋田)や福岡大学附属大濠(福岡)、洛南(京都)といった強豪校にコンタクトを取ったが、この年の中学3年生はガードの当たり年。いずれの高校も秋を待たずに獲得選手の目星をつけており、篠山の“進学活動”は難航した。

「神奈川から能代に進学された方のご縁で能代の練習に参加できるかもってなった時には、『うわぁ、俺、能代に行くのか』って興奮しましたけど、『今は受け入れていません』みたいな感じで断られてしまって。そろそろアテもなくなってどうしようと思っていた時に、北陸の津田先生が僕を誘ってくれたんですよ」

 福井県にある北陸高校は、1年前のインターハイで優勝、ウインターカップで準優勝を果たした強豪だったが、篠山は「(ユニフォームが)黄色くて坊主」くらいのイメージしか持っておらず、福井県がどこにあるのかすらも、よく分かっていなかった。しかし、白いジャケット、白いパンツという出で立ちの津田洋道監督(当時)が篠山家を訪れる前に、気持ちは決まっていた。

「津田先生がうちまで誘いに来るっていう話を聞いた時点で、親に『北陸に行く』って言いましたね。それはよく覚えています」

 かくして篠山は北陸への進学を決めた。冬休みに参加した練習では全国トップレベルの高校生たちの大きさや、えも言われぬオーラに圧倒され、親元を離れての生活にも不安が大きかった。しかし、「ダメだったら帰ってくればいい」と気を紛らわせてくれた知人に、「途中でやめて帰ってきたとしても家のカギは開けない」と言い放った母の言葉で覚悟が決まった。

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