「僕には野球があるから」を逃げ道にせず 超難関スタンフォード大を3年卒業→MLB1巡目入団、世界レベルの文武両道を実現させた思考法
わずか3年で学位を取得「時間の許す限り勉強した」
2年目の序盤に右肘を負傷。トミー・ジョン手術を受け、2、3年のシーズンを棒に振った。「投げられない分、勉強のための時間が増えた」。リハビリ期間を有効活用し、わずか3年で学位を取得した。「時間の許す限り勉強したよ。何時間も、何時間も、何時間もね」。努力の裏には、先を見越した計画があった。
足を速くしたい、打率を上げたい…野球上達に“必須の能力”を学ぶ「運動神経向上LIVE」開催
MLBドラフトでは、大学生は3年目を終えれば卒業を待たずとも指名資格を得る。「3年で指名された場合に後で大学に戻らなくて済むよう、その前に学位を取ってしまおうと思ったんだ」。3年時は登板ゼロにもかかわらず、計画通りに2016年ドラフト1巡目(全体8位)でパドレスに入団。「将来のテストの心配をしなくていいから、プロ生活がより楽しくなったよ」と笑う。
日本ではあれこれと手を出さず1つのことに集中し、犠牲を払うことの方が美徳とされる風潮がある。彼の「自分自身を1つのことに限定するべきじゃない」という考えは、それと一線を画す。
二兎追うものは……のことわざもある通り、2つの道で大成することは容易ではない。スポーツと勉学を両立させるコツを聞くと、「全ての努力は、プロフェッショナルを目指して行うこと」と返ってきた。
「工学の授業を受けている時に野球のことを考えたことはない。『僕には野球があるから心配ない』なんて考えない。常に出来る限り最高のエンジニアになろうとしていたし、出来る限り最高の野球選手になろうとしていた。その時にやっていることに全力を注ぎ込むんだ。勉強でも、野球でも、パーティでもね。一度に3、4つのことを考えるんじゃなくて、一瞬一瞬に全集中するようにしていたよ」
中途半端はNG。何をする上でもその道の一番を目指す。そんな思考法が、限られた時間を最大限に生かすことに繋がっていた。
■カル・クアントリル / Cal Quantrill
1995年2月10日生まれ。カナダ・オンタリオ州ポートホープ出身。2016年ドラフト1巡目(全体8位)でパドレスに入団。2019年5月1日にメジャーデビューし、1年目から23試合に登板。6勝8敗、防御率5.16を記録した。2020年シーズン途中にインディアンス(現ガーディアンズ)にトレード移籍。2022年には防御率3.38で15勝(5敗)を挙げる。2024年にロッキーズ、2025年にマーリンズに移籍。通算46勝38敗、防御率4.19。父はブルージェイズなどで通算68勝を挙げたポール・クアントリル。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










