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10代で海外サッカーに飛び出す意義とは? 異色の韓国人MFが日本で得た新たな価値観

「韓国では、コーチがほとんどベンチに座ったまま。立ち上がるのは、大声で怒鳴る時だけですね」――オ・ジャンウン(FC東京出身/元韓国代表)

ベルギーに留学しFC東京U-18で育ったオ・ジャンウン、異国の環境が成長を促した

「韓国では、コーチがほとんどベンチに座ったまま。立ち上がるのは、大声で怒鳴る時だけですね」――オ・ジャンウン(FC東京出身/元韓国代表)

 オ・ジャンウン(現・城南FC)は、韓国の新世代を代表する海外志向の強い選手だった。

 中学3年時にはベルギーに留学し、中学を卒業すると、今度はFC東京U-18に加入。2002年にトップデビューを果たすものの、当時はブラジルトリオ(アマラオ、ケリー、ジャーン)の壁が厚く、なかなか出場機会を得られずに帰国したが、その後は韓国代表としても活躍することになった。ちなみに李忠成(現・浦和レッズ)とはFC東京U-18時代の同僚で、日本国籍を取得する前の李が参加したU-19韓国代表合宿でも一緒にプレーをした。

 オ・ジャンウンは中学時代から母国を離れていたので、たまに帰ると両親が「あまりに早く大人になり過ぎて気持ち悪いよ」とこぼしたという。また、姉も「弟じゃなくて、お兄ちゃんが帰って来たみたい」と呆れていたそうである。

 そんなオ・ジャンウンが海外に出て、最初に実感したのは、韓国とベルギーの指導環境の違いだった。

「ベルギーではコーチが率先して動く。丁寧に説明して納得させて教えてくれました。でも韓国では、頭ごなしにやらせるだけ。例えばドリブルの得意な選手がいて、チャレンジして奪われれば『何をやってるんだ!』と怒鳴られる。選手と指導者の間に溝ができますね」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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