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アスリートを悩ませる引退後の人生 杉山愛は「100のやりたいこと」をノートに書いた

体がSOSを発した日、“やらなければ”ではなく“やりたいこと”をノートに書き出した

 テレビやラジオのコメンテーター、各地での講演と、仕事が仕事を呼び、多忙でも新しい経験が続く楽しい毎日が続いた。しかし3か月が過ぎた頃、体に変調をきたす。

「選手時代もハードでしたが、決まったルーティーンをこなし、トレーニングや試合を行い、ケアをする規則正しい生活。それに、すべての時間、自分の体と心に向き合えました。ところが引退後の仕事は、すべて相手方のスケジュールに合わせて動く。不規則で、神経も使い、コントロールもできません。そのうち、ジッとしていても天井がぐるぐる回るような症状が現れるようになりました」

 仕事は引く手あまたでスケジュールはビッシリ埋まっている。しかし心は、満たされるどころか充実感からどんどんかけ離れ、ついに体がSOSを発した。

「選手時代から私は、短期・中期・長期的のプランを組み、プロセスを踏んで、定めた目標に到達するのが好きだった。ところが、引退後、そうはできなかった。『私は一体、どこに向かっているんだろう?』といつもモヤモヤしていました。当時を振り返ると、体も、心も、バラバラだった」

「このままではいけない」。杉山さんは、現役時代の自分に立ち返る。ノートに向かい、“やらなければいけないこと”でなく、“やりたいこと”を書き出していった。

「書いていくと、女性として、社会人としてどう生きたいのか、今の自分は何をしたいのかに、向き合える。100のやりたいことをリストアップし、実現したものから消していくことにしました」

 リストの一番上にきたのは結婚、そして2番目は出産。それは、幼い頃からイメージしていた人生の一つでもあった。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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