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アスリートと社会を繋ぐプラットフォーム 今、話題の団体「APOLLO PROJECT」とは

スポーツと真剣に向き合い、全身全霊をかけて最良の結果を追い求めるアスリートの姿は、観る者の心を揺さぶる。だが、その現役生活は永遠に続くわけではない。いつか終わりを迎えた時、少なからず直面するのが「自分に何ができるのか」という自問自答の壁だ。

「APOLLO PROJECT」を立ち上げた6人の理事たち(左から)廣瀬俊朗さん、白崎雄吾さん、山内貴雄さん、神田義輝さん、八田茂さん、吉谷吾郎さん【写真提供:APOLLO PROJECT】
「APOLLO PROJECT」を立ち上げた6人の理事たち(左から)廣瀬俊朗さん、白崎雄吾さん、山内貴雄さん、神田義輝さん、八田茂さん、吉谷吾郎さん【写真提供:APOLLO PROJECT】

1年間の学習プログラム「A-MAP」、現役・引退アスリート11人が受講中

 スポーツと真剣に向き合い、全身全霊をかけて最良の結果を追い求めるアスリートの姿は、観る者の心を揺さぶる。だが、その現役生活は永遠に続くわけではない。いつか終わりを迎えた時、少なからず直面するのが「自分に何ができるのか」という自問自答の壁だ。

 限界に挑み続けること。強みを生かすこと。仲間と競い高め合うこと。様々な人のサポートに感謝すること――。アスリートとして身につけた素晴らしい資質を、次なるステージでも存分に発揮できるきっかけに出会える場を提供し、応援したい。そんな想いを込め、昨年設立されたのが一般社団法人「APOLLO PROJECT」だ。

 代表理事を務める山内貴雄さんはJリーガー、専務理事を務める廣瀬俊朗さんはラグビー日本代表主将として活躍。他の理事4人もスポーツ界には造詣が深く、アスリートが競技生活を終えた後に感じる不安を自分事として捉えてきた。山内さんが団体設立に向けて動き出すと、アスリートのキャリアや教育という部分への問題意識を持っていた“仲間”が次々と共鳴。理事となる6人が集まると、わずか半年ほどで「APOLLO PROJECT」が立ち上がった。

山内「法人名は人類初の月面着陸に成功したアポロ11号にちなんでいます。僕らが対峙するアスリートたちも自分の可能性にフタをするのではなく、超えられないと思っていた大気圏を突破し、月面着陸をしてもらいたい。そこに伴走するのが僕らなんじゃないかと」

 そもそも、アスリートの多くはなぜ、引退後のキャリアに不安を抱いてしまうのか。

廣瀬「一つはスポーツで培ってきたことが、引退後のキャリアにどう役立つか分からないこと。現役選手としてのプレーが誰かに喜んでもらえている実感はあっても、ビジネスの世界では新入社員よりスキルが低いのではないかと不安になりますよね」

山内「例えば、サッカーだったらシュートやヘディングといった競技スキルはビジネス分野で直接生かせない。競技生活と一般社会の繋がりが見えづらいですよね。加えて、アスリートの日常はすごく閉鎖的なんです。どの競技でも変わらないと思いますが、ほぼ毎日が家や寮から練習場・試合会場への往復。そこに行きつけの食事場所などが加わるくらい。狭いコミュニティーで生活している人が大半だから、本来は社会の一部のはずなのに遠く感じて不安になるんじゃないかと思います」

 プロ生活を2年で終えた山内さんは新人選手のスカウト担当を経て、リクルートエイブリック(現・リクルート)に入社。ビジネス全般の経験を積みながら、Jリーグに出向して現役・引退選手のキャリアサポートに携わった。将来への不安を抱く選手が多いことを実感すると同時に、「いろいろな経験をさせてもらっている自分だからこそ、選手の力になれることもあるのでは」と動き出した。

 廣瀬さんは引退した2016年にビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院に入学し、3年にわたって学びを深め、経営学修士(MBA)を取得。2019年にはスポーツの普及や教育、食、健康をテーマとしたプロジェクトに取り組むため株式会社「HiRAKU」を設立した。自分が歩むべき方向性を見出すために、大学院で学び直した時間は貴重だったという。

廣瀬「いわゆる“学ぶ”というよりも、数多くのビジネスパーソンと対話する中で、自分はどうなりたいのか、自分のどこが生かせるのか、何が足りないのかが見えてきた。APOLLO PROJECTが、自分のありたい姿をトコトン考える機会を提供できる場になれば面白いと思います」

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