2社の社長になった元ロッテ投手 1個30円のコロッケ揚げで得た第二の人生に必要なこと
今も138キロを投げる香月さん、元プロ選手によるチームを結成
以前から、企業や自治体に依頼された熊本県内でのeスポーツ事業に携わっていたが、老若男女が楽しめるコンテンツとして、熊本県外まで事業を拡大すればより良いと考えていた。オフラインだったものをオンラインに変えれば、世界中と繋がることも可能だ。
「地域を盛り上げ、観光客などの流れを生むなら、オンラインで全国から参加できるイベントがいい」。自身はゲームに詳しくなく、むしろ苦手だが、だからこそ見せ方・演出には興味があった。
ここで農業とのリンクを考えた。現在、eスポーツの大会では、プロ以外は高額賞金を受け取ることができない。大会賞金ありきで考えていない参加者、視聴者が多く、副賞があるだけでも喜ばれる。主催する大会で、熊本の新鮮な野菜セットを副賞とすることにした。参加者が集まれば、個々の発信力も活かし、ECサイトのPRも狙うことができる。国内市場4700万人規模とも言われる、eスポーツの潜在能力に目をつけた。
6月27日、人気アプリゲーム「荒野行動」のオンライン大会を開催。ロッテ時代の本拠地にちなみ、大会名は「千葉行動」とした。全国各地から参加者が集まり、中継では千葉、名古屋、熊本を繋いだ。イベントにはロッテで同僚だった内竜也さん、矢地健人さんも参加した。
元プロ野球選手の繋がりは、草野球にも活かしている。巨人、オリックスで活躍した兄・良太さん、元ロッテの青松慶侑さんらによる軟式野球チームを結成。熊本の農業PRを皮切りに、地域の問題解決を支援することが目的に活動を始めた。
香月さんは現役を退いた今も、投手として最速138キロを投げられる。野球チームでは試合のほか、ユニホーム姿で農業活動を行うなどインパクトある社会貢献活動も検討中。「畑を耕しながら『野球のトレーニングだ!』みたいな面白い企画がやりたい」。YouTube等で発信し、元プロ選手のセカンドキャリア、ブランディングに活かしたい思いもある。
「野球(Baseball)」「eスポーツ」「農業(Agriculture)」の英語の頭文字をとり、熊本の「熊」とかけて銘打たれた「BeARプロジェクト」。6月から本格始動し、それぞれの分野での相乗効果に期待している。